「ARIA The NATURAL[アリアザナチュラル](TVアニメ動画)」

総合得点
80.6
感想・評価
943
棚に入れた
4995
ランキング
451
★★★★★ 4.2 (943)
物語
4.1
作画
4.0
声優
4.1
音楽
4.3
キャラ
4.3

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ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

出逢って事実を重ねていくというキセキの宝物

2期の本作は、舞台となっている水の惑星アクアについて、
今までカメラが入らなかったところまで潜入した、といった感じで掘り下げ
ゴンドラを漕ぐ水先案内人であるウンディーネ(水の妖精の意味)の日常と
成長をきめ細やかに追いながら、1期よりファンタジー色濃いめに描かれていた。

ファンタジーと一言に言っても、ギャグ回あり、サスペンスホラータッチあり、
幻想的で美しいエピソードや切ない展開もあって、なかなか表情は豊か。
それでも全体を通して、穏やかな夢の中にいるような空気感は健在。

観る人によっては、淡々とまったりし過ぎて眠くなったり、
綺麗事すぎて退屈だ、などと思われるかもしれない。
でも、その平坦に見える日常の中にもささやかな幸せはあって。
さまざまな「素敵」をみつめながら優しい気持ちになれた人は、
成長し変化していく彼女達に癒されたり、
忘れかけていた大切なことに気づけるはず。

ではなぜ、こんなにも人の心に沁みいってくるのだろう?
人間の身体の75%は水分で、人類の起源は海の生物だからなのか。
水で潤う風景と、そこを滑るように流れていくゴンドラの心地良さ。
しっとり潤うアリシアさんの声と穏やかな口調からは
アルファー波が出てるのじゃないかと思うほど。
まずはこの2つが大きいと感じる。

そんな、人一倍優しいアリシアさんの下には感受性の豊かなあかりちゃん。
ハッキリものを言うハンサムウーマンなあきらさんには
しっかりしていて実は一番乙女チックなあいかちゃん。
天然だけど、ここぞという時にそっと支えてくれるアテナさんには
心の表現が不器用ながら、冷静沈着なアリスちゃん。
先輩と後輩がお互いを育てていくような、なんとも絶妙な組み合わせ。
後輩が何かに失敗しても決して感情的に声を荒げたりはせず
言葉や行動、視線のそれぞれに、あたたかい愛情を感じた。

また、ネオヴェネツィアのガラス職人さんや郵便屋さん、
奥さんの手入れにより美しい花々を庭に咲かせている家、
マリオネットと音楽で子ども達を楽しませる旅の人形遣い、など
日常の中でさまざまな役割をしている人達にも
スポットを当てていたことにすごく好感持てた。

誰もが誰かを思いやっている平和な空気。
やさしさは、鏡のようにやさしさから生まれるもの。
人は決して1人で生きているのではないということを
押し付けがましくなく、自然な流れの中で気づかせてくれる。
心にすっと入って納得や共感できる言葉の数々。
赤ちゃんのような片言を話す猫「アリア社長」の
愛らしさに癒される人も多いと思う。

素直な想いがそのまま素直に心に響く。
それこそが、心に沁みた瞬間であり、心があたたまるということ。
その小さな炎を灯し続けることができたらいいなと切に想う。

今現在よりかなり未来の世界のお話だけれどSFモノではなく、
ヴェネツィアそっくりの街並みは時が止まったかのように見える。
日本の風鈴や稲荷神社のような和風なテイストのものがあったり、
メールが当たり前になっても手紙をわざわざ書いてみたり、
現在よりずっとずっと昔に使っていたような電話機がモニター付きだったり、
思えば摩訶不思議な世界観。
でもそうやって、昔から伝わるものを受け継ぎながら
人々は何かを忘れないようにしているのかもしれない。

物語の中でも何度か出てくるが「素敵」と「宝物」という言葉に
景色や人の想い・・とにかくすべてのことが詰まっている。
ヴェネツィアっぽいけど地球上のヴェネツィアではない。
{netabare}
「アリシアさんみたいになりたくても、アリシアさんにはなれない。
自分は自分にしかなれない」
「大好きな気持ち、大切にしたいと想う気持ちを宝物みたいに思える自分が
ここに確かに存在している。本物か偽者かなんて関係ない」
「そしてその大切な想いは、時間をかけて育てていくものなのかも」という
{/netabare}
何より「事実」を大切に重ねていこうとする言葉の数々にも、
すごく共感できた。

どの回も素晴らしかったし、3話の流星群なんて自分が10数年ほど前に観た
獅子座流星群を思い出して感動したけれど、僕が特に泣けたのは・・・
{netabare}
4話(担任の先生の結婚式に手紙を届ける話)
12話(夜光鈴の話)
14話(あかりが1人でパリーナを完成させる話)
16と17話(古くなったゴンドラとさよならする話)
23話(結婚記念日を迎えた老夫婦の話)
{/netabare}
海の助けがなければ生きていけない惑星、アクア。
人だけでなく、あらゆるものが何らかのカタチで引き合っている。
そしてそのあらゆるものには、しっかり魂が根付いている。
忘れてならないのは、この世界がずっと未来だということ。
人である限り、何かに感動したり考えたりしたことを言葉にして
誰かに伝えていくことができる・・・それが代々続いていくであろうことにも
とても感慨深いものを感じることができた全26話だった。

ちなみに音楽も素晴らしかった!
挿入歌、挿入曲はもちろんのこと、特にお気に入りなのは
1期のOPであり、この2期の16、17話に流れた『ウンディーネ』
最終回の26話では弾き語りバージョンでも登場。
この曲を聴くとじわーっと涙があふれてくる。

2期のテーマは「出会い」・・
自分もこの作品と出会って、いろいろなキセキに立ち会えたことが
宝物のように思える。それがとても今、素直に嬉しい。
やっぱり、もっと早く観ればよかった(笑)
この作品は3期を観てこそ完成するらしいので、引き続き3期も
今まで同様、数話ずつ寝る前に視聴するスタイルで観ていこうと思う。

投稿 : 2012/11/20
閲覧 : 541
サンキュー:

41

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