ものぽらいざ さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
同時期に公開された映画アニメと比べても遜色ない作品
面白かった。
恋物語と伏一族の存続が大きなテーマになっていたが、様々な視点が丁寧に描かれていた。
原作とはいろいろな面で異なっているが、違った良さを出していた。
滝沢馬琴の孫の冥土が女の子になっているが、男よりも女の方がヒロインの浜路との友情をわかりやすく説明できる。{netabare}あくまでも恋物語は浜路と信乃だからね。{/netabare}
また、原作は、江戸の町並みは和洋折衷のゴシック調をイメージしていたり、季節は冬だったりと鉛色のダークファンタジーのイメージだが、映画では、江戸の川辺の風景はヴェネチアをイメージしていたりと和から逸脱したイメージで描かれているものの指向性は異なり、季節は春にして、より恋物語を強調している。
残念な点は声優。桂歌丸とCharaは力不足。サブストーリの一つを担う役柄だったが、素人を採用するのであれば、このサブストーリは省いても良かったかも。
Charaが歌うテーマソングの「蝶々結び」はこの恋物語にぴったりで良かった。
{netabare}
手紙がキーアイテムとなっている。
浜路を江戸に呼び出す道節からの手紙。凍鶴から子供への手紙。そして浜路から信乃への手紙とその返信手紙。すべての手紙は届き、新しい生活へ導いている。
そこで、同じ監督作品の亡念のザムドのナキアミと同じで字が読めないヒロインと言うのは意図的ではないと監督は話していたが、どうしても対比してしまう。そう、「言葉はいつも心に足りない」は今回はどうだったのかと。
またこの監督は対比を多用する。
男っぽく元気な浜路と女形で寂しさをまとう信乃。最大の見所はその信乃を助ける浜路のシーン。後方で爆発が起こり、結っていた髪がほどけて、女っぽくなった演出は良かった。
どうしても浜路視点で観てしまうが、信乃視点で観るのが一番面白い。それは心の動きが一番激しいから。人が憎い、自分を先入観なしで見てくれる浜路が好き、人はいいな、生珠を食べる自分が嫌い、人が嫌い、と。そして最後に手を差し伸べる浜路。素敵な恋になるのは必然です。
{/netabare}
ああ、惜しむらくは公開時期が悪かった。もっと話題作になっていただろうに。