mikura さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
天膳がんばって!
能力バトルものの嚆矢にして大傑作、山田風太郎の「甲賀忍法帖」が原作のアニメ。
天海の進言により、伊賀10人甲賀10人で殺し合いをし、その勝敗で将軍家の跡継ぎを決めることになる。
しかし、家康と天海、そりゃいくらなんでも無茶振りすぎるんじゃないですかい。
各忍者それぞれ独自の秘術をもっており、あるときは1対1で、またあるときはチームで戦う。
無敵に近い能力と思えても、相手との組み合わせによっては無力となり、あっさりやられてしまうこともある。
能力バトルものの面白さが存分に味わえる作品です。このジャンルの作品で、これより熱中できるものはなかなか無いように思います。
各秘術も、現代の創作作品でもテンプレのようによく出てくるものもあれば、この作品でしか見たことがないような珍しいものもあり、原作が古くても新鮮な驚きを持って楽しめると思います。
さすがに「時間操作系」の能力は出てきませんが。
ただ、アニメ版は頻繁に回想シーンが入ったり、いいところで場面転換したりして、ちょっとテンポが悪いと言わざるを得ません。せがわまさき氏の漫画の方がずっと良かったと思います。
また、それぞれの秘術の見せ場を作るために、各人の行動の合理性が損なわれていると思われる場面も多いです。まあそれは演出上仕方ないですね。
この作品、私は朧と弦之介よりも、薬師寺天膳に感情移入して見てました。彼はまさに鬼畜ですが、この果し合いの中で一貫して強い意志を持っていたからです。速水奨さんの声が大変よくマッチしていたと思う。
{netabare}
また甲賀組の秘術の見せ場を作るために、一番犠牲になっているのが天膳。
十兵衛、形部、豹馬、陽炎、弦之助と、計5回も殺された上に、最後は味方の朧に不老不死の秘術による蘇生を阻まれ永久死。
「天膳殿が、また死んでおる!」悲惨ですなぁ。
まあ朧には「拙者の命の精をお注ぎ申す!」とかやってたから自業自得ではあるんだけども。
もう一度よみがえれ天膳! と思っていたけどやっぱりダメだった。
甲賀の如月左衛門はその変身能力を使って多大な成果を上げていくんですけども、朧によってその秘術が解かれ彼の能力が露見してからは、伊賀組はお互いを確認しあう符丁を使うのが自然であったように思う。
いつ左衛門が紛れ込んでいるかわからんからね。
しかし左衛門も天膳に負けないくらい鬼畜で趣味が悪い。
蛍火や朱絹を変身能力でまんまとだまし、虚言を弄して一度は喜ばせておいてから絶望の淵に叩き込んで殺す。悪趣味極まりない。背後からさっさと殺してやれ。それじゃ演出上、華がないのか。
弦之介の瞳術は確かに恐ろしい能力ですが、効果範囲があるようだし、見てない敵には効かないわけだから、遠くから弓や鉄砲で撃つとか、焙烙やクナイを投げるなど、いくらでも対処のしようはあったように思う。
{/netabare}