mikura さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
完成度の高いファンタジー。
主人公は女短槍使いのバルサ30歳。バルサ大好きだ結婚してくれ!
ヨゴ国の第二皇子チャグムが水の精霊に卵を産み付けられてしまうのですが、建国神話によるとそれは最も忌むべきこと。
そのため父である王は苦渋の決断でチャグムを亡き者にしようとする。我が子を守りたい母妃は、秘密裡にバルサに護衛を依頼し、王宮から逃すのでした。
またこの世界は「ナユグ」と呼ばれる並行世界(霊界のような感じ)が存在しており、水の精霊も、その卵を狙うラルンガと呼ばれる怪物もそのナユグの存在。
バルサの幼馴染で薬師のタンダ、タンダの師匠で呪術師のトロガイなどの協力を得て、バルサとチャグムは王の追手とラルンガの脅威に立ち向かっていくのでした。
ファンタジーの世界ですが、風習や経済、占星術を中心に据えた政治の仕組みなどが驚くほど緻密に作られていて、物語の完成度は非常に高いです。
私はこの作品を見るまで、武術とか格闘技にあまり興味がなくて、アニメやドラマの殺陣シーンも流し見しかしていなかったのですが、第3話で初めて本格的な格闘シーンが出てきたとき、あれ、ここちょっと凄いんじゃないかと何回も巻き戻しして見てしまいました。
動画のコマが多く滑らかで、体裁きや武具の動きがダイナミックで格好良い、というだけじゃないんです。
何度も見てると、バルサがどうしてこっちに走りだしたのか、囲まれたときどうやって突破していたのか、力の強い男の斬撃をどう受け流していたのか、そして最後になぜあそこで前に踏み込んだのかなど、素人目でも彼女の動きの巧みさと意図がわかってくる。
相手の動きを読み、瞬時に判断して臨機応変に、かつ理詰めで攻撃を組み立てている。
バルサの卓越した格闘術がまさによくわかる。素晴らしいです。
強い意志と卓越した武術、そして母性も兼ね備えたバルサはとても魅力的です。
しかしチャグムも皇子らしいプライドの高さと知性のきらめき、子供らしい健気さを持っていてとてもかわいいです。彼がバルサの母性を引き出したとも言える。
チャグムがメインの賭博や夏祭りのサブストーリーはとても面白かった。
そしてタンダ。彼はつっこみどころが満載の愛すべき男です。
{netabare}
女用心棒なんて危険な仕事はやめろ(そして俺と結婚してくれ)と言いながら、バルサが怪我をするたびに薬師の知識を生かして甲斐甲斐しく介抱する。
行ったら戻れないかもしれないナユグの世界に行ってサーヤの魂を引き戻す。、
終盤のラルンガとの闘いでは、奴にダメージを与える方法を解き明かし、さらに自らの槍をもって攻撃し、最初にラルンガを仕留める。
気弱で平和主義のふりして、お前が知勇ともに一番優れているじゃまいか。
終盤の彼の大活躍には爽快感を伴う笑いがこみあげてきました。
とても良い物語でした。
原作の小説ではまだまだ続きがあるとのことなので全部読もうと思っています。
{/netabare}