退会済のユーザー さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
劇的ビフォーアフター
取り壊しが予定されている高校の文化部部室棟「カルチェラタン」の保存運動と、メロドラマを描いたジブリの青春アニメ。
まぁ、なんということでしょう!と言いたくなるぐらいの「カルチェラタン」の変貌ぶりが見事だった。リフォームじゃなくて「お掃除」ですけどね。
前作「ゲド戦記」比べてどうだったかというと、それは間違いなく本作の方が良かった。
リアリズム重視のドラマ作りには好感が持てました。シーンもポンポン飛ばし気味なのですが、良くも悪くもそのおかげで「ゲド戦記」に比べれば随分見やすくなっています。ただ、モノローグで補強する事も一切無いので説明不足な点もあります。冒頭で色々こう説明がないとですね・・・母親が途中でいきなり登場してあれ?って感じでしたよ。何故カルチェラタンは取り壊されなければならないのか?おい、最終的にそれで解決できるのかよ・・・・まぁいいけど。
恋愛ものとしては極めて大人しい。とても繊細でそれも悪くないと思うし、ドキっとするシーンもなくはなかったが・・・もうちょっと心情描写をしっかりすべきでは。どう頑張っても「耳をすませば」のように胸キュンは全然しないのだ。例えば「カルチェラタン」の保存運動で俊が男らしく演説をするのだけど、あれにキュンとする事は全然なかった、私は(笑)実は○○だったとかいう肩すかしメロドラマにしかり旗信号の件にしかり、全てにおいてあっさりしすぎていると思う。起伏もあまりなく観客に殊更感情移入を求めないスタイル?一歩引いて作品を眺めてくださいと言わんばかりである。
しかし女性の力強さは感じられた、ここがこの映画の大きなポイントなのかな。
カルチェラタンの危機を救ったのは女性達のおかげであるし、主人公の海の見せた積極性は良かったですね。まぁぶっちゃけそれくらいの印象しかなかった。正直前半はかなり好感触だったのだけど、後半からちょっと残念な感じだ。それなりに纏めている分「ゲド戦記」よりは良いとは思うけど、やはりその程度かなと思いました。
吾朗監督は高畑路線、というのもまぁそうなのかもしれないですが、感情表現があまり豊かとは言えないというか、敢えて抑えてるのかな・・・アニメでこれだと正直ちょっと厳しいんじゃないかなと思います。方向性としてはアリだと思うので、次回作に期待ということで。