てけ さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
たった1分間の動画に詰められた「気づき」
「パプリカ」で有名な今敏監督の作品。
とても綿密に描かれた背景と、リアリティのある動き、それでいて、ほんのり夢見心地を感じさせる動画です。
たった1分という作品ながら、見るたびに新しい「気づき」を与えてくれる作品。
さて、「気づき」の例を挙げてみます。
私の場合です。
気付いたことを数回分、順を追って書こうと思います。
↓ネタバレというか、私の解釈の流れです↓
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【初見】
女の人が朝起きる。
誕生日の次の日?
良くみると体が半透明。
イラクの爆破テロが目につく。幽霊?
横からのカットで女性がもう一人いることに気付く。その姿は同じもの。
2つの半透明の影の行動が徐々に近づいてきて、最後に「おはよう」。
夢見心地…うーん、でもよくわからない。
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【2回目】
女性の動きにとてもリアリティがある。
散らかった部屋や、冷蔵庫を足で閉める動き、シャワールームでの「あー」など、一人でいるときの性格が表れている。
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【3回目】
最初から半透明の女性が2人いることに気付く。
グラスの質感やテレビの質感に驚く。他の背景が綿密に描かれていていて目を惹かれた。
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【4回目】
2つの女性の影はほぼ同じ動きをしているようで、実はずれていることに気付く。
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【5回目】
食器の数から、前日に誰かがいたことがわかる。
誕生日の次の朝だと確信。
2人の女性は、昨日の自分と誕生日の次の朝の自分?
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【6回目】
シャワールームの扉を開くタイミングがおかしい。
後に起きた方が開けた扉に、開く描写なしに入っている。
いつもは閉めているけど、昨日は酔って閉め忘れたのか、それとも…?
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【7回目】
最初の影は目を開けているが、次の影は目を閉じている。
もしかして、昨日の自分と今日の自分という二つの影ではなく、精神と肉体の感覚のずれなんじゃないだろうか?
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では、「おはよう」にこめられた意味は…?
……とまあ、こんな感じです。この後にも何度も見ました。
もちろんこれが正解ではないでしょうし、見る人によって解釈が異なると思います。
視聴者はこの映像を見て、何に気づけるか。
単なるクイズではすぐ飽きてしまうところなのでしょうが、映像美、そして現実感と夢の狭間にいるような感覚になり、飽きがこない。
いったいどういう意図が隠されているのか、何度も何度も見てしまうんです。
たった1分間なのに、決して1分間では終わらない余韻。
こういう感覚、とても好きですね!