STONE さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
絆が作る新しい家族
原作は未読。
当初はライトな絵柄から、可愛い姪3人と同居するロリコメディだと思っていたら、のっけ
からシリアスな展開に。予想外にヘヴィな展開であるが、逆にドラマとしては面白くなった。
瀬川祐太と三姉妹の4人暮らしは全体を通して見ると大変なこと、辛いことの方が多く、
特に経済的問題が絶えずのしかかる感じ。
しかし、そんな状態において、新しく構成された家族内の小さな幸せをよりどころに様々な
困難を乗り越えていくところがいい感じ。
また4人の人柄の良さが路上観察研究会を始めとする回りの人達を応援者にしていく展開も
見ていて微笑ましい。
血のつながりがない者同士が同じ家で暮らして絆を強めることで、新しい家族関係を再構成
していく点は、同じ原作者の松智洋さんの「迷い猫オーバーラン!」に通じるものがある。
ただ、シリアス的側面に注目してしまうと、大学生を筆頭とする4人暮らしの描き方の
詰めが甘い印象もある。
本当にこんな状況になったら、経済的大変さはこんなものじゃないだろうという感じが
あるし、世帯主が未成年で大学生となると諸所の公的手続きの問題などもあったはず。
こうした問題とは別に祐太にとって大変だったのは、異性と暮らすことで色々と強いられる
苦労。入浴、トイレ、洗濯など。
本当の兄弟姉妹の場合、幼い頃からの同居であるため、それほど異性を意識しないもので、
裕太も姉と暮らしていた頃はそういった意識はしていなかったはず。
逆に異性の兄弟がいなかった小鳥遊三姉妹(空と美羽)の方はどうしても裕太をことさら
異性として意識しての対応。
いきなり年頃の異性と暮らすためにこういった苦労をする羽目になって、ちょっと裕太に
同情してしまう。
演出としてはモノローグを減らして、キャラの表情、しぐさ、行動で心情を表現しようと
していたのが印象的。
キャラに直接語らせた方が視聴者には伝えやすいが、演出とはいえ、やたらと独り言を
言っているとキャラの行動にある種の不自然さは生じる。
一概にどちらの手法がいいとは言えないが、この作品のやり方は映像のある媒体の利点を
生かしており、この作品の個性の一つにはなっているはず。
ラストで4人は小鳥遊家の池袋の家に引っ越したようで、空と美羽の通学時間の問題は解決
したみたい。
ただ、逆に言えば裕太の大学への通学時間は延びたわけで、生活のためのアルバイトもある
ことを考えるとフィクションとはいえ、「頑張れ」とエールを送りたくなってしまった。