turn999 さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
一見ラブコメ、でも実は「若さ」がテーマ
とらドラ!は一番お気に入りのアニメです。
ちょうど竜司と同じ高2の頃リアルタイムで観て、恋愛をして、受験もしたのでもう思い出といっていいかも……。
わたしはこのアニメはラブコメではなく「若さ」がテーマだと感じとりました。櫛枝と竜司が校内を駆けるシーンがまさにそれを象徴しています。
大河と竜司の駆け落ち、実際は電車で1本、親戚の家に行き1泊して帰ってきてしまいます。そして、やっちゃんと和解して、2人はほんの少し大人になっただけで帰ってきてしまうところなんて、誰もが経験した「中途半端」「若さ故の未熟さ」なのではないでしょうか?
竜司の気持ちの移り変わりは、おなじ男としてとても共感できました。特にきっかけとか理由はないんですよね。気づけば好きになっているし、他の人を好きになっている。北村のように一途に「この人!」と自分に言い聞かせている男もいます。べつに竜司がチャラいといいたいわけではないので、あしからず……。
メイン・プロットとサブ・プロットの絡みが上手い。あれこれ詰め込まずに、ストレートにクライマックスに向かっている。竜司と大河については「親と家庭環境」が、2人の行動原理になっているのがよくわかる。一方で他のキャラの親については描写されていない。古典的なプロット構成で高評価したいです。
結局、大河も親の呪縛から逃げることから、親と上手くやっていくようになったのだと、あの他校の見慣れない制服姿から勝手にとらえてしまいました。
笑いの後の感動というのは、実は古くからよくある手法なんです。アニメではどうしても30分間の中でそれをやってしまいがちですが、よくぞ2クール通してそれをやって成功してくれたと感謝しています。
竜司、大河、みのりん、北村、あーみん、そしてクラスメイト、2人の親まで入れていいかもしれない。みんながみんな成長して前向きに終わった作品は他にないのかもしれないですね。あくまでわたしの高校生時代にかぶっているので、こういう感想ですが、ありそうな現実を突きつけられながら、ありえない夢も魅せてくれる。そんなアニメでした。