bk958 さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
森見節全開なSF青春もの
【あらすじ】
主人公である私は農学部に通う大学の三回生。バラ色のキャンパスライフに憧れつつも、現実はそううまくいかない。一回生の時にもし別のサークルを選んでいたら・・・それぞれの並行世界で描かれる不毛と愚行の青春奇譚。
『また阿呆なものをつくりましたね』
森見登美彦さん原作で、1話完結のオムニバス形式で並行世界の"私"が描かれている。アニメオリジナルも含め、その構成の面白さと見事な伏線回収は原作と比べても遜色なく、それぞれの世界をまたがって登場するアイテムや真相にたどりつくためのヒントが各話に散りばめられていて飽きさせない展開となっていました。
また、特徴の一つである"私"の独特の語り口も、こちらは主役の浅沼さんによるところが大きいですが、見事に再現されていて、その知的で大仰な言い回しにクスリときたらいつの間にか京都の街に誘われていることでしょう。
監督はアニメ界で異彩を放つ湯浅政明さんで、その魅力的なアニメーションは今作でも随所に見る事が出来ました。話題をさらった「マインドゲーム」ではその個性が前面に出ていましたが、今回は森見さんの"四畳半"、中村佑介さんのキャラクター、湯浅監督のアニメーションと絶妙なバランスで、一度で三度おいしい作品でした。
そして、その四畳半ワールドを所狭しと暴れ回るキャラクターはいずれも魅力的。
バラ色のキャンパスライフに憧れつつも、その殻を破れない"私"―
他人の不幸のためにまさに八面六臂どころじゃない立ち回りを見せる友人小津―
舌鋒鋭く、飾らない人柄と可愛らしさを併せ持った黒髪乙女明石さん―
浮世離れした、いや人間離れした八回生樋口師匠に、酔うと顔をなめ出す悪癖の持ち主の羽貫さん、イケメンで頭の中が桃色というよりおっぱい一色の城ケ崎先輩―
これだけ個性的な面々に囲まれて何が不満なのか・・・とは思いますが、いずれのキャラクターも青春を全力で謳歌しようとしていて、好感が持てました。
ストーリーや伏線の回収に面白みを感じる方、もう一度エネルギーが有り余っていたモラトリアムを・・って方にオススメです。