鉄のあくま さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
日本に住むということ。
マグニチュード9.0の大規模地震を経験した私たちにとって、悲しいほど身近な物語。
私事ですが、震災があってから合計で一ヶ月ほど被災地で復興のお手伝いをさせていただきました。
あれから一年8ヶ月が経ちましたが、私が出向いている地域はまだ震災直後と景色がほとんど変わっていません。
しかし、仕方のないことなのかもしれませんが世間では少しずつ震災のことが風化されつつあるように思います。ちょくちょく現地に行っている私でも地元に帰ると被災地に行ったことが非現実的に感じる時があります。
私が通っている被災地の方の多くは、震災から10ヶ月ほどは「見せ物ではない。」とカメラ片手に観光半分で来るような一部のボランティアに嫌気がさしていましたが、今は「出来るだけ多くの方に被災地を訪れてもらい、実状を知ってもらいたい。だから被災箇所を写真に撮られてもかまわない。特に若い人は今後必ず大震災の一つは経験するんだから、地震や津波を知って、考えてもらいたい。」とおっしゃる方が増えてきました。
日本に住む者は地震の恐怖を、悲惨さを忘れてはいけない。
この作品はそういう意味で非常に貴重です。
新規性もない萌えアニメを毎期のように乱立するくらいなら、このような社会派の作品をもう少し増やしてほしいと、どうしても思ってしまいます。
この作品には震災時に起こる事柄でリアルに描写したシーンは多くありましたが、さすがに教材のように解説まではしていなかったので、実際に震災時に活きるものが得られる作品も紹介させて頂きたいと思います。
漫画ですが、『彼女を守る51の方法』という作品です。
この作品では震災時に生き延びるための知識や判断基準が分かりやすく解説されているため、非常に実用的と言えます。
また、非常事態における人間の心理・行動を過去の震災で実際に起こった事例に基づいて生々しく言及されていて、いざという時に役立つと思います。
漫画なので大げさに描かれている部分もありますが、ラブコメ要素があったりして読みやすいので、是非とも本作と併せて読んで頂きたいです。
ついつい長くなってしまいましたが、本作が震災という触れにくいテーマに正面から向き合って作品にしたことを高く評価します。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。