明日は我が身 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
過去に生き、笑った男
この作品は子供であるエドを除き、メインキャラクターがみな『過去に対し未練や渇望がある大人』であるのが最大の特徴で、スパイク、ジェット、フェイのそれぞれ違った『過去への向き合い方』がテーマだと感じた。
この作品は『自分の人生にとっての旬』が過ぎたあとの物語だろう。だから派手に活躍し悪を挫くコナンやルパンとは違って激しく地味だ。
だがその渇望こそがこの作品の醸造された味を生んでいると思う。
過去に女に逃げられ自分の旬が過ぎたが、最終的に過去に向き合うことを選び、ケジメを付け『今』のビバップ号を居場所に選んだジェット。
過去の記憶を失ってそれを求めるが、最終的に『今』のビバップ号を居場所に選んだフェイ。
ただ彼らの望んだビバップ号からは、結局いなくてはならない大切なクルーが消えてしまう。
2人と違い『過去をやり直す』ことを選びジュリアと逃亡をはかるスパイク。
だが最後にはその『やり直すべき過去』であるジュリアを失い、スパイクは結局一度は出ていくと決めたはずのビバップ号に戻る以外の選択肢を失います。そして戻る前に『決着をつけないとならない男』ヴィシャスとの因縁を終わらせるため組織のアジトに単独で突入します。
...が、最後は死んでしまいます。
右目の義眼で過去を見て、左目で今を見ていたと言うスパイク。
最後は戦いでつぶれた左目を閉じ、そして右目で『過去』を見ながら笑って死んでいった。最後まで『過去』を脱却出来なかった男の死に様...。
これはなかなか寂しくも味のあるアニメだと舌を巻きました!