明日は我が身 さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
視聴者の憎しみを一点に集めた『扇レクイエム』!!!
コードギアスの2期。
先に言わせてもらうがまず大前提としてこの作品は大好きだ。
だからあえて先に不満点をあげることにする。
{netabare}1期と比べると微妙にパワーダウンしているがそれでも個々の信念が分かりやすくかかれていて、1期からの伏線もきちんと回収していて完成度は高い。毎話の引きもかなりのもの。
ではパワーダウンしているのはどこか?
それは細かい整合性である。アニメはフィクションだ、がフィクションには『フィクションなりのリアリティ』が必要である。
そこが欠けていた顕著な例が扇や黒の騎士団の裏切りである (他にも多々あるが多いためここでは一例に留める)。
扇は敵の国の女と仲良くしながら敵の国の皇子の話を鵜呑みにして仲間を裏切ったのだ。
確かに1期から扇の裏切りフラグはビンビンに立っていた。だがいかんせん実際に裏切る時の『裏切る理由の説得力』が微妙であった。
ゆえに違和感が生じた。裏切らなきゃいけない場面だから裏切った、みたいな脚本に操られた扇に見える。
(↓)自分なりに改善案を出すと、まず3つ。
①ルルーシュの目的と扇の目的が違う、と分かりやすく描写すること。
ルルーシュの目的はブリタニアをぶっ壊すこと。
扇の目的は日本を取り返すこと。
②騎士団のルルーシュへの信用度が下がったタイミングでシュナイゼルの口から『そんなルルーシュだからこそ、例え戦いに勝利しても君たちの望む日本を作ってくれるとは限らないよ?』というセリフを加えること。
これはルルーシュと騎士団のそもそもの目的が違うから生まれ得る疑惑。
③敵だけどシュナイゼルは信用に値する人物なんだ、と扇たちが思える描写。
それがあれば扇の『信じた仲間を裏切るんだからせめて日本くらい返せ』宣言がかっこよく成り立ちます。
世界の憎しみはルルーシュに集まりゼロレクイエムが完成したが、視聴者の憎しみは扇に集まり扇レクイエムが起きてしまった。
しかし、この3つの改善点をクリアできれば扇は人気キャラになれたであろう。{/netabare}
・・・とまあ改善してほしかった点ばかり書いたが良い点も多い。
まずやはり先が読めない超展開。
そして1期より政治的なプロパガンダを感じる場面が少なくなった点。人によってはプロパガンダ的な描写が気になるらしい(オレは気にならない)が2期は非現実的なファンタジー要素が1期より強くなっているためそのような現実的な主義主張とは距離感が生まれ、フィクションだと割り切りやすい。
そしてなんと言ってもラストのシュナイゼル戦がすばらしい。
『母の死の真相を知るらしい人物』だとルルーシュが1期で判明したコーネリアとシュナイゼル。
1期でコーネリアを倒し、そして2期でシュナイゼルとラストバトルをするというきれいな構成。
天空要塞ダモクレスの圧倒的力。・・・スケールが大きいです。
最終回はもはやなにも語るまい。広げに広げた風呂敷をみごとにたたんだ神回でした。
まさか{netabare}あそこでゼロが再登場するとは・・・。{/netabare}
1期を気に入った人は2期をぜひ"最後まで"見て欲しい。