STONE さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
鴨川で宇宙戦争
基本はロボットバトルものだが、キャラ設定を始め、作風がライトなためか、あまり殺伐
さを感じない。逆に重厚さや深いドラマ性とも無縁だったけど。
設定自体は宇宙の広範囲、並びに地球の行く末を巡るスケール感の大きい話だが、これを
鴨川周辺という非常にローカルな狭範囲で描くというギャップ感が面白い。
主人公である京乃まどかのスタンスもそんな感じで、まどかの戦い自体は宇宙に影響を
与えるほどレベルの高いものだが、地元愛の強いまどか自体の意識は鴨川を守るために戦って
いる感じ。
と言うわけで、地球上に関してはほぼ鴨川一色。
作品舞台が「聖地」と呼ばれてファンが訪れるようになってから、最近では最初から地域
活性化のネタとして、作品内において、作品舞台の地域を強調するような作品が増えてきた
けど、この作品もそういった作品の一つみたい。
個人的なことで恐縮なのですが。
鴨川は地元ではないのですが、割とパッと行ける場所なので結構足を運んでいます。
やはり海が印象的で、加えて日本の海沿いの町っぽい感じと、南国リゾートを思わせる
ような非日本的な感じが一緒になった独特の雰囲気があり、この作品でもその辺の感じがよく
出ているように感じました。
作画のカラーは明るめでリアリティには欠けるかもしれないけど、オーシャンビューが放つ
開放感がこのカラーにはよく似合っているなあと。
まどか、ラン、ムギナミが搭乗するウォクスだが、日産の方でデザインしたものらしく、
確かにアニメ畑の人がデザインするロボットとは違う印象。
曲線主体のフォルムが印象的で、よくモーターショウで未来の車なんかが展示されることが
あるけど、あの辺を思わせるものがありました。
このウォクスのバトルだが、後半は専用の武器が与えられて、いかにもな戦い方に
なったが、個人的には序盤のジャーマンスープレックスをかましたり、失敗する真剣白刃取り
などのハチャメチャな戦い方の方が好きでした。
ただ、このウォクスによるバトルは思いの外少なく、三人の少女達の日常における友情に
多くを割いており、先にロボットバトルものと書いたけど、巨大ロボットがある世界の日常
モノと言った方が近いかも。
話の中心となる三人だが、まどかは思い立ったら突っ走るタイプ、ランは見た目こそ
理知的でクールな印象だが、やることなすこと失敗するというドジっ娘、ムギナミはふわふわ
した感じの天然系で、全員がボケキャラ。いわゆるツッコミ系がいないため、ボケたまま
突っ走ってしまう展開が多かったみたい。
更に前半の敵であるキリウス、イゾ、アレイや、後半の敵であるヴィラジュリオもボケ
キャラで、味方も敵もボケばかりという印象。
まどかはよく胸やお尻を触られたり、ランとムギナミも含めて入浴シーンや水着シーン
など、いわゆるファンサービスシーンが結構あるのだが、あまりエロい印象はない。
三人の性格がなせる業なのか、むしろ健康的な印象。
演出で印象的だったのは三人を象徴する椅子の描写が随所にあること。
まどか、ラン、ムギナミをそれぞれイメージする3脚の椅子があり、その椅子の位置や
向きで、三人の心情や関係性を表しているのが印象的でした。
三人の別れを中心に最後は終わり、作品の細かい設定や謎は明かされないまま。
本作は分割2クールものの1期で、三人を描くことに専念したみたいだから、「これは
これでいいのかな」って感じ。