takumi@ さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
だって・・生きることは闘うことでしょ?
20歳前後の頃、球体関節人形の展覧会に行って以来、その魅力の虜になり
人形制作を趣味にするようになった自分としては、
とても興味を惹かれる作品ではあったが、放送当時はまだアニメを
今ほど理解も視聴もしておらず、人形のデザインは可愛く感じたものの
人間達のキャラデザや、雛苺の萌えを意識したような口調に
違和感を覚え、数話観て切ってしまっていた。
今思うと、なんてつまらないことに拘っていたんだろうと思う。
それから数年が経ち、アニメに対しての向き合い方が変わって
もう一度観てみたら、すっかりドツボにはまり、後半9話から最終話までは
胸が苦しくなるほど感動してしまっていた。
まずこの作品はあくまでも、主人公である桜田純の心の成長が
物語のメインであり、ドールたちの日常とバトルはそのための
手助けをする役割として描かれている、ということを言っておきたい。
バトルの理由であるアリスゲームに関しての詳しいことや
第1ドールである水銀燈がなぜ、第5ドール・真紅を目の敵に戦いを挑むのかは
ここではほとんど語られないので、そちらのほうをメインで観た人は
もしかしたら不満を覚えたかもしれない。
でも、不登校でずっと自宅に引きこもり、食事すら自室でしかしなかった純が
人形達と出会い、生活を共にする中で少しずつ変化を見せ
やがては自分の心の奥底と向き合い、さまざまなことに気づき
這い上がっていく様子には何度も涙腺が壊れた。
もちろん、ゴスロリファッションやドールが元々大好きな自分としては
彼女達を見ているだけで幸せだったりもして。
放送当時に観た時、憤慨したはずの口調は逆に可愛く感じるようになっていて
なんだ・・自分もアニメへの向き合い方がかなり変化していたんだなと、
はじめて気づかされた作品でもあった。
コメディパート+バトルパート+日常パートと、テンポも良く飽きないし
それぞれに流れる音楽もとても良かった。
それに、胸に刻みたくなるような良い言葉もたくさんあった。
中でも特に、真紅の語るセリフがいい。
ドール達の中でもひときわ知性と気品にあふれ、
立ち居振る舞いのすべてがエレガントな真紅の魅力は
時々見せる羞恥心も含め、個人的には一番理想のドールだったけれど
翠星石の独特な口調は、意地悪さと優しさが複雑に交じり合った彼女にぴったりで
アニメ的にはこういうのもアリだな・・と思ったし、
雛苺の純真無垢な、幼児のようなキャラもあってこそ、物語を面白くもしていた。
ちなみに翠星石の双子の妹である蒼星石のボーイッシュさと裏腹な性格も
共感する部分がかなりあったりで、ほんと・・バランスが良かったと思う。
なお、水銀燈に関しては、彼女の悪魔的狂気の原動力となっているものが何か
わかってて観るのとそうでないのとでは、印象がだいぶ誓うので
そのあたりを中心に描いたOVA『ローゼンメイデン・オーベルテューレ』
のほうを先に観ることをオススメする。