てけ さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
嘘の関係と本当の関係…ねじれすぎで重たい
あにこれでの評価が高く、1話無料動画を見て気になったので視聴しました。
1クールなのに1話1話が重い。
20分強の1話で、昼ドラ1時間分見たような気分になります。
テーマは、
・「表面上の発言と本心の違い」
・「嘘の関係と本当の関係」
その溝をどうやって埋めるか、といったところ。
良かった点としては、
人間の汚い部分を強調していること。
美談ではなく、等身大で醜い部分のある人間関係を描こうとしています。
丁寧なキャラクター作画、そして音楽も好み。
OPテーマの「リフレクティア」は耳に残りますね(音楽アニメの「TARITARI」でも使用されています)。
悪かった点としては、
キャラクターの設定や行動が特殊すぎること。
人間は確かに汚い部分を持ち合わせています。
でも、この物語の登場人物はかなり変わっています。
{netabare}
・優柔不断すぎる主人公の眞一郎。軸がぶれすぎです。結局最後の最後まで流されっぱなし。そういう優柔不断な人間は確かにいるのですが、そんな人は普通モテません。彼がなぜこんなに好意を持たれるのか理解に苦しみます。
・物事をひっかきまわす眞一郎の母親。人間として、ついていい嘘と悪い嘘くらい判断してください。大人なんだから。
・さらに物事をひっかき回す乃絵の兄。人の好みは否定しません。ただ、やることがあまりにまわりくどいです。自己中で周りを巻き込みすぎです。
・嘘で塗り固め、何でもはぐらかそうとする比呂美。親友にすら嘘をつきます。眞一郎の母のせいでもありますが、頭がいいんだから、もう少し歩み寄った付き合い方ができるのでは?白か黒か、両極端を行ったり来たりしすぎに感じました。
・好きな人(眞一郎)のそばにいたいがために、眞一郎の親友である三代吉と付き合った愛子。これはひどいですね。気持ちはわからないでもないですが、行動に移す前に、いずれ自分や周りが苦しむことを想像できなかったのでしょうか。
みんな敢えて修羅場を作ろうとしているようにしか見えません。
{/netabare}
そういった「未熟さ」というのもある種のテーマなのかもしれませんが、やりすぎな感じがしました。
こういうキャラ設定や行動も、ラブコメやファンタジー路線では別に気にならないんです。
でも、現実世界で起こりえるシリアスなストーリーだと、違和感があるんですよね。
等身大の人間模様を描くなら、キャラクターの行動をもっと現実に則したものにして欲しかったと思います。
結局、私にとっては、{netabare}乃絵と三代吉の成長物語{/netabare}でした。
{netabare}乃絵も変といえば変なのですが、あの兄の歪んだ愛情を受けて育ってきてますからね…。
そこからの脱却を含めると、大きな成長を遂げたのではと思います。
途中からどんどん感情移入していって、最後には完全に主人公扱いしていました。
三代吉は、まっすぐでとてもいい人。
全キャラの中で一番まともで…一番不憫だと思います。
それでも前向きにいようとする彼は素直にすごい。
{/netabare}
【総評】
全体的にクオリティが高め。
方向性もよかったのですが、リアリティが中途半端だったため違和感が目立ってしまった。
そんな作品でした。