ハハハ さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:----
これは神アニメであり、ラブコメの頂点。
この作品は一見すると3次元とは無縁の世界。
チンチクリンで凶暴な女子高生など、世間にはそんなに居ません。
妄想が暴走して授業中に鼻血を出す女子高生も居ないでしょう。
アニメにおけるキャラ立ちとは、そんな現実からは外れた場所に成り立ちます。
では、「現実的で無いからアニメは下らない」のでしょうか?
私は多くの大人がこの点を非常に誤解している様に思えます。
たとえば、毎週の垂れ流される実写の帯ドラマに私はあまり興味が持てません。
一年に一本程度、「コード・ブルー」の様な秀作はありますが、
多くは、「恋人同士のすれ違い」をだらだらと描くだけの作品です。
その様な停滞する実写ドラマに、多くの原作を提供しているのは「マンガ」です。
「マンガ」の読者はワガママです。
絶えず新しい物語、新しい刺激を求めています。
ですから、コンテンツの枯渇した実写ドラマは、
比較的現実的な「マンガ」を、コンテンツの宝の山と認識したのです。
ところが、多くの「マンガ原作」のドラマは、ほぼ駄作です。
「のだめカンタービレ」の様な怪作もたまには飛び出しますが、
やはり「マンガ」に存在した独特のリズムがことごとく失われています。
何が問題かと言えば、「リアリティには限界がある」という事なのかも知れません。
「のだめ」のドラマ版は、そんな実写に付きまとうリアリティーの破壊を試みましたが、
一度やられてしまえば、二度目はあり得ません。
ところがアニメは初めから「リアリティーの拘束」から解放されています。
一方で、リアリティを導入する事は簡単です。
炊飯器の蓋を開け、湯気の立つごはんを
しゃもじで茶碗に盛るだけでリアリティーは生まれます。
ですから上手いアニメの演出家は、
リアリティーから非リアリティーの振幅を最大に生かして演出します。
「とらドラ」は、リアルと非リアルの振幅と、調合具合がとても優れた作品です。
その意味で、長岡、岡田コンビの最高傑作は「とらドラ」だという結論に達します。