メルヘン◆エッヘン さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
観てないのは人生の損。冒頭からの引き込み、前半は、超名作。二度泣かされた。
テーマは音楽。さわやかな風がほんとに駆け抜けるんです。
時間が経過しても、中身を覚えています。
それだけ名作ってことでしょう。
声楽部の宮本来夏!が部活をやめ自分で新しい部活をたちあげる冒頭エピソードの流れは短い時間ながらうまくまとめられています。
とても引き締まったはじまりで導入されていきます。その段階で引きこまれ13話連続して鑑賞。ほぼ完全無欠の作りだったのではないでしょうか。
登場人物の設定もなかなかで、女の子たちの体格などが単にバリエーションを増やすだけに使われず、ちゃんと意味があるという点などに<うまさ>を感じます。
次いで、その部活を{netabare}軌道にのせるための困難、障害への立ち向かい方が、相互の関係性、家族との軋轢などと共に描かれます。それは友達同士のすれちがいであったり、大人社会の傲慢であったりします。
主人公たちの行動の障害はなんたったのでしょうか。
前半の敵は、教条主義の教頭先生
後半の敵は、理事長の持ち込む建設計画
全体を通じて、それぞれの選択、悩み
と整理することができ、この群像劇の登場人物たちのそれぞれの抱えている不安や今後の<選択>と家族との関わり{/netabare}が横糸になっています。
特に6話までの出来は自分にとってすばらしい内容で文句のない幸せな時間を過ごせました。
もっとも印象に残った{netabare}サワが愛馬サブレで学内オーデションのために体育館を目指すシーンの作り方は、みごとな物語構成ゆえにできあがっており、過不足のないカットの組み合わせで{/netabare}感動的な場面になりました。ほんとあざとい脚本です。悔しいですが泣かされてしまったのです。
後半の<障害>の中心ある{netabare}「建設計画がもたらす学校への波及」(学校の縮小、文化祭の中止、周辺住民、商店街との関係)については、ボク自身の専門知識がジャマをしたというか、作り手側の知識の無さに少し興醒めしてしまいました。
もう少し勉強してほしい。{/netabare}
批判しているように受け取られるかもしれませんが、ボクは今の現代劇アニメには高い水準を要求していますし、それができると信じています。妥協のない質の高い作品は諸手を上げて賛同するだけでは生み出されないと考えるかも。ですから、もっとイイモノを今度提供していただけるのではないかと。
おしむらくは、後半の脚本演出が前半に比べて、間延び感がいなめなかった点、これがなければ、もっとよい作品に仕上がったのではないかと思われます。わかりやすくいえば、ツッコミどころに気が付かないように、速度をあげて展開していってほしかったということです。
個人的なわがままなのかもしれませんが。
一度はみてほしい良品です。