Tuna560 さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
『中二病でも恋がしたい!』作品紹介と総評
信頼おけるヒットメーカー、京都アニメーションの新作。
12年秋アニメ、最も注目された作品。
(あらすじ)
元・中二病で高校1年生の富樫勇太と、同学年で現役・中二病の小鳥遊六花を軸として周囲を巻き込みながら展開していく学園ラブコメディ作品。(wikipedia参照)
期待値が高かったのか、初見の感想としてはあまりよくありませんでした。作品の作りとしてはライト層に向けたラブコメということもあり、やはりストーリーの浅さが気になってしまいました。
しかし、それをも補う作画は素晴らしい。特に、妄想の世界での中二バトルは観ていてとても楽しいです。
正直、最後までこの調子であれば、途中で切ってしまうつもりでしたが…8話以降のシリアス展開のおかげで、急激に面白くなるのを感じ取れました。六花が中二病を煩った経緯、悲しい過去の出来事が描かれてからのストーリ展開はとてもよかった。
特に、「六花と中二病」の関係性は観ていて面白く思いました。
六花にとって中二病は、自分は何者であり、何をなすべきかという個人の心の中に保持される、一種の「自己同一性(アイデンティティ)」を確立しているもの。六花から中二病をとってしまえば、上手く自分を表現することが出来なってしまうのはその為です。
この点で、この作品は「これこそが本当の自分だ」という事を模索する物語なんだなと思いました。
「中二病」といえば、”思え返せば恥ずかしくなる様な奇行や言動”のことを指しますが、実はこれって"自分らしさ"や”こだわり”といった事と変わらないと思えるんですよね。
「中二病」=「自分らしさ(アイデンティティ)」
こう考えれば、ラストに流れた大塚芳忠さんのナレーションの内容も頷けると思います。
まさか、このアニメで心理学的な事を考えさせられるとは思いませんでした。その点で、「キャラを愛でるだけのアニメ」にならなかったと思えます。