ツキ さんの感想・評価
3.5
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
常守 朱の違和感
視聴当初
{netabare}「PSYCHO-PASS」(サイコパス)と呼ばれる指標に従い、犯罪に関する数値も「犯罪係数」として計測され、犯罪者はもちろんたとえ罪を犯していない者も規定値を超えれば「潜在犯」として裁かれていく。(Wikipediaより改変含め一部引用。)
犯罪に巻き込まれた被害者ですら不安定な精神状態に陥り、その数値に問題が認められればその場での処分もなされる可能性については一話での通りだ。しかし、それがこの世界の常識として認められ、だからこそ我々視聴者からすると明らかに違和感が拭えない世界であるのだが最も違和感が拭えないのは本作のヒロインである常守 朱(つねもり あかね)の存在とその思考である。
この世界の常識とされる「犯罪計数」に何故彼女は疑問を抱けるのだろうか?
そもそも人間とは自分の周りの環境を常識として捉える。
古来より現在まで狩猟によって生計を立てているアフリカ原住民の方は東京の街を見てまるで魔法で出来ているようだと言い到底常識としては受け止められない。かたやインドネシアでは幼児に玩具として煙草を与える親がいるほどだ。
我々の生活をとってもそう。二分に一本の割合で電車の来る山手線に驚く人もいれば二両編成で数十分に一本の割合で来る電車に驚く人もいる。それぞれの国、地域、そして時代により常識とは異なるものなのだ。
そう考えると近未来での犯罪計数による裁きが世の理として存在する中、それに異議を唱え常識として捉えない彼女には違和感が拭えないし異端の存在として目に映る。
それに加え他の方のレビューを見て成る程と納得がいくものがあった。それは彼女の目に殆ど動きがないこと。キャラクターデザインや作画の関係もあるとは思うが、確かにこれにも違和感を覚える。彼女は我々視聴者側の人間的な思考を持っていながらもそのビジュアルからはあまり人間性が見て取れない。そんな違和感を感じながら視聴を続けていたらふと思ったことがある。
常守 朱は人間ではないのではないだろうか?
そう思うと合点の合うことは他にもある。
まずは彼女の経歴があらゆる官公庁への適性を全てトップレベルで通していること。特に監視官としては数百人もの学生の中から唯一彼女だけがA判定を出している。よくある優秀な生徒としての設定ではあるが、彼女が何か特別な存在であるとするならば裏付けもされるし納得のいく部分ではある。
そしてもう一つには色相(しきそう)に殆ど濁りが現れないこと。作中においても色相に濁りが出ないよう日常のメンタルケアに気を遣うといった描写があったため、そこに反応がないことも彼女に何かあるのではと考えさせられる。
当初はこの問題のある社会にメッセージ性を訴えるため視聴者に近い理論を彼女に持たせているのかもと思ったが、このような仮説を考えるとどうもそうとは感じない。
かと言って近未来社会の発展を危惧させるような安易なメッセージ性では大人気アニメ「攻殻機動隊」を超えると言うような発言も生まれないだろう。
そうなってくるとやはりキーマンになってくるのは常守 朱の存在。
サイバーパンク的な要素を採り入れていないと明言されていることから彼女がサイボーグのような存在であることは否定される。それでも彼女に特別な存在理由があるように思えてならない。
今後も彼女やその周辺、様々な人間の動向に注意しながらこの目で作品の真相を見ていきたく思う。
が、最も重要なことが一つ。
私のこういった予想は大っ体当たりませんwワロロンwww
予想とはあさっての方向に話が進んだら超絶恥ずかしいので最後にふざけさせて頂きました♪{/netabare}
総評
視聴当初に書いたレビューを読み返すともうほんとに恥ずかしくなりますね。普通ここまで外すか?ってぐらい私の予想した展開とはまるで違うw 読んで頂いた方ホントに申し訳ないです。泣
結局常守 朱の違和感は私の思い違いの単なる深読みに終わり、彼女には予想していたほどの存在意義はなかったように感じました。強いて言えば槙島(マキシマ)と同様の免罪体質者でありながら対極に位置する存在として描かれていたのかと思いますが、やはり狡噛(コウガミ)と槙島が互いに近い匂いのする存在としての描き方のほうがインパクトは大きいし、物語の運びもそこに焦点を置いていました。
個人的な執着から槙島を追い、次第に明かされる槙島の人間性を危惧して抹殺を遂行しようとする狡噛のプロセスとは異なり、朱の立ち位置は槙島を追う狡噛をさらに追うっていうすごく蚊帳の外なポジション。私は朱の活躍に無駄に期待していた分拍子抜けも人一倍だったのかもしれませんが、狡噛同様仲間を殺された・・・むしろ目の前で殺されたにも関わらず槙島に対する執着が今一つな印象で描いてきたものを活かしきれてないように感じました。人として、公安局一係の人間として狡噛と比較すると人間性の確立や行動に隙があるって捉え方で良いのかな?
物語の進展とともに善と悪、生と死、現在の社会の在り方など色々描いてきたように思いますがどれもピンとこない。特にシビュラシステムの全貌が明らかになるシーンでは、一つ前の話ではメッチャ気になったりしたけど実際フタを開けてみると「???」って感じでした。私の理解が及んでないだけかもしれませんがシビュラの説明シーンでは難しい用語を羅列しまくって視聴者を煙に巻いてるとしか思えませんでした。同様に攻殻なども難解な用語の羅列は多数ありましたが必死に理解しようと思える根本的な魅力がありました。視聴前から期待値が高かったのも大いなる要因ではありますが^ ^;
他の方のレビューを読むと、そんなシーンもあったなとかそういう捉え方もあるなと非常に納得できることが多かったですが、一般的な視聴者はそういった意見に触れる機会も少ないと思うので「そんな面白くなかった」の一言で終わらされるんじゃないかなって作品でした。
熱くなれるところではしっかり熱くなれますが、大事な所で読めてしまうシナリオも少々難あり。宜野座ととっつぁんの件は親子であることや最期の死など大半の方は読めてしまったんじゃないかと思います。カガリの件といいちょっと色々とフラグ立て過ぎでしたね。
あと最終話、花澤さんが鼻声なのが気になってしょうがなかったw花粉症?