メルヘン◆エッヘン さんの感想・評価
3.5
物語 : 4.0
作画 : 2.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
正直にいおう、名作を陳腐化したシリーズ。それでも素性の良さ、面白さは隠せない。
原作をなぞろうとしたのか、あるいは独自性を出そうと試みたのか、理由はわからないのだが、シリーズ構成としては難有り、各話別の脚本についても、もう少し練られていればという印象を受けた。テンポは緩いし、編集も凡庸なのだ。
登場キャラクターの位置付けは適切で魅力的だし、ブレない物語の一貫性を担保しているのは、原作譲りの素性の良さだ。文明のありよう、種としての継続性を模索し、我々は人類の持つ軛を解き放てるのか、作品の持つテーマは重厚だ。
少し、泣いた。
{netabare}
最初の8話ぐらい=ぬるい導入だが不可欠な部分
まんなか=間延びした印象が拭えない。密度が粗い。
最後の8話=いい意味で見るものをうまく裏切る展開が続く。
{/netabare}
というように、それぞれで違った印象を持った。
全体を通じていえば、{netabare}
物語の設定と展開、切り替えはなかなかよかったのだけれども、予算の都合か、いかんせん静止画が多いのと、キャラクターに表情がなさすぎるのは、2007年制作ということを考えあわせれば酷評とは言えないと思う。CG、スケール感の表現などもいまどきとしては稚拙なレベル(5年前なら妥当なレベルかもしれないが)。
少なくとも絵では、コミック原作を一定レベルで昇華することは制作側に与えられた一種の使命みたいなものだとボクは考える。紙芝居なら原作で良いのだから。
それでも、中盤以降ラストまでに、何度も心を揺さぶられるストーリーが待っている。精緻なブレのない原作を逸脱しなかったのは評価できる。
少し長い作品だけど、最後まで見通してください。
正直なところ、もう少し、原作に敬意を表してまじめに制作してほしかった。
しつこいけれど、大円団はなかなかのもの。
{/netabare}
蛇足:原作について(4年前ぐらいに書いたもの)
正直今まで、無視していた。竹宮恵子じゃねぇかと。3月にもらったのを5月に読んでみたが、あれー、1977年でこんなに出来てるコミックSFがあったんだなと感服しちゃっいました。疑似SFじゃなくて、本物でした。
SF本流でいけば、「スラン」と「ファウンデーション」を足して2で割ったかんじかな。当然、作者は確実にこれらは読んでいます。それでも内容は実にお見事です。これまでの御無礼お許しください。