てけ さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
目がなんで前についてるか
実写映画「時をかける少女」の続編。
続編がアニメで作られるというのは珍しいですね。
……といっても、設定だけの話なので、ストーリーはこの作品単体で完結しています。
舞台は現代、ケータイが出てくる時代。
主人公の紺野真琴(こんのまこと)は、踏切事故がきかっけでタイムリープ(時間跳躍)能力に目覚めてしまう。
SF的な設定がありますが、メインは青春物語。
浅くもなく深くもなく、等身大の恋。
2時間未満という短い時間に詰め込んでいるため、感情の細かな流れが感じにくいのが欠点です。
ただし、登場するキャラクターの人数が少ないため、頭の中で補完する余地があります。
見終わった方の中には、キャラに深く感情移入し、涙を流した方もいるのではないでしょうか。
なお、この作品のテーマは「前を向いて歩こう」で間違いないと思います。
随所にそれが表れています。
{netabare}
・「目がなんで前についてるかわかる?ちゃんと前見て歩くためよ」
・「Time waits for←( ゚Д゚)ハァ? no one」
・「まこと!前見て走れ!」
・1分近くにわたってただただ走り続けるシーン
・「未来で待ってる」
{/netabare}
物語は、時系列にそって淡々と進むのではなく、伏線がしっかり張られて、きちんと回収されています。
アニメ映画ならではの映像表現もキレイで良かったですね。
普通の青春ラブストーリーとして見てもいいし、SF的な考察をしてもいいし、テーマを掘り下げてみてもいいし、楽しみ方が多い作品です。
私はこういうテーマが好きです。
今の自分の境遇がどんなにひどいとしても、過去の自分があったからこそ今の自分がある。
今が貧乏だとしても、「あのとき宝くじが当たっていたら」……と考えたところで、考える力、忍耐力、努力する力、友情など、代わりに失うモノは必ずあると思っています。
自分の人生は一度きり、自分だけのものだから、人と比べたり、「もしあのときああしていれば」といちいち悔やんだりするもんじゃない。
常に体を前に向けておく。
前に障害物があって、どうしても後ろを振り返りたくなったときは、後ろではなく、足元を見る。
いろいろ悩むことがあって、ふとそう考えるようになったとき、過去を振り返ってくよくよすることが、前よりずっと少なりました。