「モーレツ宇宙海賊[パイレーツ](TVアニメ動画)」

総合得点
72.7
感想・評価
953
棚に入れた
4594
ランキング
1115
★★★★☆ 3.7 (953)
物語
3.7
作画
3.7
声優
3.7
音楽
3.5
キャラ
3.8

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

決断力という、リーダーとしての資質

 原作は未読。
 視聴前は美少女萌えでファンサービスのパンチラがいっぱいあって、無駄に派手な宇宙
バトルがいっぱいのB級モノを想像していたのだが、まったく違った。
 むしろ地味ながらもていねいにストーリー、設定、キャラを描いている良作品で、
エロっぽい描写は皆無。
 しっかりした土台の上で、魅力的なキャラが活き活きと動き、作品のテンポ感や演出も悪く
ないため、地味であっても飽きさせない。
 宇宙船同士で砲撃戦をやるような派手なバトルが少ないことが、地味に感じさせる理由の
一つだと思うが、海賊は海賊であって軍隊ではなく、必要最低限の戦闘行為しか行わないと
いう信念のようなものがストーリーから感じられ、逆に駆け引き、交渉といったある種の
頭脳戦が堪能できる。
 SFとしても、設定やガジェットなどスペオペとしてはそれなりにちゃんと描かれており、
あまり馬鹿馬鹿しさを感じさせないのが、この作品の作風には合っているように思える。
 面白いなと思ったのは、どう見てもおでんとしか思えない料理を、終始ポトフと呼んでいた
こと。あれは現代より時代が下っていく過程で、同じ煮物ということで混同されたか、名前が
すり替わってしまったのだろうか?。

 海賊ということで改めて思ったのが、「海賊って職業だったな」ということ。
 舞台が宇宙にしろ、海洋にしろ、海賊が主人公である作品はロマン、冒険、自由を求めて
旅立ったりすることが多いが、職業という生計を立てる部分に関してはあまり描かれていない
作品が多い。
 本来の海賊の業務は、他からの略奪に尽きるのだが、なかなか主人公にそういうことは
やら せにくい。
 その点で、この作品は「ショーとしての海賊」という設定を用意することで、うまいこと
その辺を描いているのが興味深い。

 序盤から中盤に掛けてはじっくりと土台を固めている印象で、終盤に至っては前半に
しっかり描いた土台を武器に次第に派手な展開に移り、最後は大バトルで景気よく終わると
いう、割といい形の決着を付けてくれた。
 それなりに敵は登場するが、極悪非道なキャラはおらず、なんとなくハッピーな感じで終始
視聴できた作品。

 キャラに関してはやはり主人公の茉莉香が魅力的。
 主人公のスペックという部分に関して、元々持ち合わせていた才能と、努力して得るものと
があるが、茉莉香の場合は血筋を感じさせるような海賊船長としての才能の片鱗を見せるが、いわゆるスーパーマンタイプの万能キャラではなく、自身の努力や回りの助けで身の丈に
合った成長をしていくという、この按配がいい。

 茉莉香が海賊船長になることは、きっかけこそ父の死という巻き込まれる形で始まるが、
成り行きで流されることなく、自身の決断により決定するのが好印象。
 この辺のくだりは序盤で時間を掛けて描いており、その過程で茉莉香の前向きで素直な
性格や、ここぞという場面での決断力のある様が描かれるが、これが見ていて気持ち良く、
更に茉莉香の持つ長所がよく判るようになっている。
 この性格や決断力が茉莉香の持つ最大の武器で、リーダーに求められるもの。弁天丸の
クルーや白凰女学院の友人達が茉莉香に惹かれるのもよく判る。やはり船長になるべくして
なったと思わせるものがある。
 特に決断力に関しては、この作品のテーマの一つとも言うべきもので、茉莉香の決断力が
ストーリーを動かし、問題を解決していく。

 発展途上中であるところも茉莉香の魅力で、2クール作品ゆえに回を追うごとに成長して
いく様が見られる。加えて中の人である小松未可子さんの声優としての成長も感じられた。
 そんな発展途上中の茉莉香を見守る存在も印象的。
 母の梨理香だが、茉莉香の性格や態度を見るにつけ、いい子育てをしたのだろうなと
思わせるものがあるが、この作品時期においては放任主義を貫いている。
 その分、ミーサやチアキが母親的存在になっているのが面白い。彼女達も当初はそういう
つもりはなかったのだろうが、茉莉香と接することで母性的なものをくすぐられずには
いられなくなったのだろうなと思わせるものがある。

 海賊と女子高生の兼業というのも面白く、宇宙海賊などというと突飛な感じがするが、
これは日常によくあるバイトや部活などに置き換えることができそうな描写。
 女子高生ということに関して、ヨット部の部員などは海賊業を手伝うなどして、ある意味
茉莉香と同じ位置に立つが、クラスメイトであり、バイト仲間であるマミは終始宇宙とは
距離を置いている。
 それゆえに茉莉香の女子高生の日常という部分において、登場頻度以上にマミの存在は
大きかったように思える。

 海賊モノは主人公だけでなく、クルーを始めとする脇キャラの魅力が大きいが、こちらも
個性的で魅力的なメンツが揃っていて楽しい。

投稿 : 2012/10/26
閲覧 : 240
サンキュー:

4

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