フォックストロット さんの感想・評価
4.2
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
分かりにくい!けど、面白かったぞ!!
実際の金融経済史で起こったイベントがモデルになっているところが面白い。90年代初頭、日本バブル崩壊。90年代後半アジア通貨危機、2000年代リーマンショック、そして、世界恐慌を彷彿とさせるハイパーインフレ。各国金融・財政当局、そして市場を席巻するヘッジファンドのやり口なんかも絡め、人の未来や豊かさという視点から映像描写された傑作。金融経済史を少し勉強すると、より楽しめる作品だと思います。
{netabare} 後半のハイパーインフレは、90年代後半のアジア通貨危機で、ヘッジファンドがタイバーツの空売りを仕掛けた事例がモデルになっていると思います。「現在を救うために未来を犠牲にする」...という三國の思想は、金融機関への公的資金注入、国債の発行、そして、それを買い支えて国の信用を担保する中央銀行という、まさに日本の金融政策そのもの。それに異議を唱える余賀の姿勢が、革命的に映ります。「未来を買い戻す」というシーンは、ハイパーインフレによって円の価値が激減した時点で、円建てだった「日本の未来」というデリバティブを過去と同額で買い戻すことが理論上可能、ということを表現しているのだと思います。勉強不足なので解釈に誤りがあるかもしれませんが…{/netabare}