ワタ さんの感想・評価
4.3
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「私は本物だよ」
故・今敏監督の初監督作品。
予想以上に面白かったです。冒頭からラストまで終始引きこまれっぱなしでした。
本作の主人公・霧越未麻は、アイドルから女優への転身を計り
レイプシーンやヘアヌード撮影など過激な仕事に身を投じることになる。
アイドルの現実を生々しく描いてるわけですが、現実のアイドルで言うなら
最近AKBを卒業した前田敦子がまず思い浮かんだけど、ちょっと違うかな・・・
同じAKBなら、AKBがブレイクする以前、脱退してAV女優になった人がいましたね。
どういった経緯があったかは知りませんが、未麻の置かれている状況はこちらの方が近いか。
ファンだった人が本作に出てくるストーカーみたいに変貌してしまってもおかしくないと思える。
本作の描写は徹底してリアルです。人物、街並み、部屋の装飾などのビジュアル面もそうだし
何より未麻に対するファンの反応が本当に生々しい。だからこそ恐怖感が直に伝わって来る。
ストーカーの恐怖、周囲で起こる殺人事件。やがては現実と虚構が入り交じり
精神的にも肉体的にも追い詰められていく未麻の様子が描かれていく。
不安や恐怖を掻き立てる演出も実に素晴らしいです。
そんな感じで作品の雰囲気に呑まれていたら、ラストの展開で衝撃を受けました。
事件の犯人は誰か?っていう話じゃないと思ってたところで、まさかまさかの真相解明。
細かい説明はなかったですが、動機的にも非常に納得させられるものがありました。
ただでさえ怒涛のサイコホラー展開に圧倒されっぱなしだと言うのに
サスペンス要素も十二分に機能している。シナリオ構成といい、見事としか言いようがないです。
結末の後味も思いのほか良いものでした。虚実の曖昧さを描いてる作品なので
いくらでも深読みはできそうですが、ここは素直に受け止めておくことにします。
エンディングで流れる曲も爽やかで私的にツボ。懐メロっぽさがたまらなく心地良いっすね。