maruo さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
原作が原典をさばききれなかったか? C
原作未読
この作品の原作は、ワーグナーの楽劇「ニーベルングの指環」をモチーフとして描かれています。
ワーグナーの「ニーベルングの指環」は上演時間が14時間以上にもなる大作で4話に分けて上演されます。
序夜:「ラインの黄金」
第一夜:「ワルキューレ」
第二夜:「ジークフリート」
第三夜:「神々の黄昏」
本作はこのうち「ラインの黄金」に当たります。
<あらすじ>
トチローとエメラルダスは、伝説の魔女ミーメからの知らせを受けて、謎の盗賊に襲われつつある惑星ラインへ向かう。
惑星ラインには、“宇宙を支配する時間そのもの”である「ラインの黄金」が3人の乙女によって守られていたが、絶大な力を持った盗賊に奪われた。
ラインの黄金の秘密を知るミーメは、今後繰り広げられる争いを予感し独り思い悩む。
一方、ハーロックとトチローは、黄金を奪った盗賊が地球に向かっていることを知る。
盗賊は黄金を指環に加工しようとしており、地球には黄金を超精密加工で指環にできる人物、ドクター台場がいる。
アルカディア号は懸命に盗賊の後を追跡するのだが……。
何故指環に加工するのかというと、ワーグナーの「ラインの黄金」で「この黄金から指輪を鍛え上げたものは世界を手に入れる力を持つ」というのに由来しています。
盗賊は黄金を指環に加工することで、宇宙を手に入れようとしているのです。
それを阻止しようとするハーロックたちは、この宇宙の存在自体にかかわるような大きな存在に対面することとなります。
古い作品ですからある程度は仕方がないとは思いますが、はっきり言って、戦闘シーンの出来はモーレツ宇宙海賊の方が上だと思いますw
しかし、アルカディア号を拝めるというのは、昔ハーロックを見ていた者にとっては感慨深いものがあります。
副長のヤッタランがプラモデルを作ってなかったのが残念といえば残念ですがw
この作品では各所にワーグナーの音楽がちりばめられています。
フルオーケストラによるBGMは非常に迫力があります。
ただ、戦闘シーンに「ワルキューレの騎行」を流すのは反則だと思いますがww
実際のところ、見ていて面白かったのかというと、かなり不満が残る内容でした。
指環で力を手に入れた盗賊との対決は、結局のところ、主人公であるハーロックの力以外で決着が付けられるという何とも消化不良な結末となっていますし、問題が積み残しになって終わっています。
また、ワーグナーの「ニーベルングの指環」では、指輪を所有した者は不幸に身を蝕まれ、必ず死に至るという呪いがかけられることになりますが、この作品ではそれは反映されていないなど、原典の重要な設定が反映されていない部分が見受けられます。
この作品はあくまでワーグナーの「ラインの黄金」に相当する部分だけで構成されていますから、物語を終わらせる都合上、そうした扱いになったのかもしれません。
いずれにせよ非常に中途半端です。
原作が途中でストップしているそうなので、当の松本零士氏が原典をさばききれなかったのでは、という印象すら持ってしまいます。
往年のハーロックファンの方にも余りお勧めできる内容ではありませんし、ハーロックを知らない方にはなおさらです。