てけ さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
きれいな話……折木は折れるのか? わたし、気になります!
原作は未読です。
一応ミステリーに属するんでしょうか。
扱うのは血みどろの事件ではありません。
日常的な軽いトラブルやいたずら、昔から気になっていたことなどなど。
【推理ものとして】
・展開スピードが早く、考える時間がない
・ヒントは揃っているが、短時間しか表示されない
・どこまで進んだ時点で解答を導き出せるのかわからない
と、視聴者が解答を導き出すのは大変だと思います。
解答を見るとわかりやすいですが、実際は、状況証拠だけで推測しています。
揺るがない証拠があるわけではなく、憶測にとどまっているわけです。
でもそれは、{netabare}
「まじめに取り組んでいないから」という設定がありますので気になりません。
推理した本人も「解けたのは運だ」って言ってます。
それが後々の「期待」というキーワードに繋がっていきます。
折木自身は単なる運だと思っている。
でも、周りには(視聴者含め)天才にしか見えない。
先輩も言ってました。
「どれだけ努力しても追いつけないものにはどう見えると思うか?」
視聴者に考える隙を与えない展開の早さも、実は計算ずくなのでは?とか考えてしまいます。
{/netabare}
【日常ものとして】
見所は、まずその独特な雰囲気です。
美しい風景、クラシックをメインとするゆったりしたBGM、間の取り方、心象の映像化(後半は少ないですが)。
ギャグも挟まりますが、あからさまなお笑いではなく、気の利いた感じ。
キャラクターは高校生ですが、とても魅力的で個性的です。
また、知識とボキャブラリーの豊富さにはびっくりさせられます。
空気や感情の読みっぷりもかなりのもの。
とりあえず、おバカキャラはいません。
そして、ヒロインの千反田える、この子はすごい。
えるに頼み事をされたら、誰も断れない、ものすごい吸引力があります。
そんな個性的なメンバーですが、物語が進む毎に少しずつ影響しあっているのがわかります。
映像だけでもわかる微妙な感情の変化。
誰からも目が離せない、そういう魅力があるんですよね。
{netabare}
文化祭以降、自分を見つめ直すことを始めた折木。
バレンタインデー事件のあと、「次は折木と千反田の番だな」という期待。
そして、最後のニヤニヤ展開。
しかし、いくら感化され、自分を見つめ直しても折木は完全に折れることがなかった。
告白したい気持ちがあったのは認めていますが、あと一歩踏み出せませんでした。
何が足りなかったんでしょう。
そして、なぜあのとき千反田は折木に「水と土」しかない「期待」もできない自分の場所を紹介したのか?
「氷菓」が駄洒落なら、水と土から始まり、いつしか「私、木になります」という意味にも見えたり……。
それを折木が、千反田の後ろにあった大きな木を見つけて、時期尚早だと察した…とか。
なーんて、私の推理力ではちょっと力不足ですorz(続きものだから、とか言わないで!)
でも、舞い散る桜、二人で見据えた夕日、芽生えたつくし。
含みを持たせた印象に残るシーンでした。
{/netabare}
風景も人物も丁寧に作られ、どのシーンも見逃せない、そして甘酸っぱくも美しい終わり方だったと思います。
内容も、突出した部分はありませんが、欠点らしい欠点が見つからない良作だと思います。