たんたんたぬき さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
痛快ロボットバトル
この作品これほど高い評価の程のものか?と思う部分がある。私は富野ガンダムが好きです。ただちょっと飽きてしまいました。Zを見てどうもこういう路線あんまり好きじゃないなと思ってました。ファーストの頃のガツガツしたバトルものの部分を好んでいました。だからこの作品の評価が高くなってしまいました。ファーストの後すぐこれを見ていたらなんだか陳腐に感じたかもしれません。Zを見た後見たので受けるイメージが違ってしまったのではないか?快活な富野と言えば良いのか分かりませんが、ガンダムファーストの頃富野はやる気に満ち溢れた一人のクリエイターでした。ただZの頃からちょっとずつおかしくなってきます。逆シャアは丁寧に作ってますが、ターンAまでどうもちぐはぐな作りが目立ちます。ファーストの頃の作る意欲に溢れた富野が戻ってきたと喜んでみていました。しかし、Zを挟んでるからこそ好きになっただけで、ファーストほど面白かったと思って無いし、逆シャアほどでもないです。考えてみると私のZアンチ的なものがうずいて高得点にしてる気がします。ただ私Zの評価高い方です。ただガンダムがどうも歪んでしまったと思う一因の作品だったなと思っています。
ガンダムは元々MSがガチンコバトルやるってそんだけの単純な作品です。そのシンプルさをもろキングゲイナーは持っています。富野はロボットバトルの描き方が上手いです。彼のガンダム作品でストーリーテイラーとして優れていたなと思うはガンダムファーストと、逆シャア(映画として、彼は映画の方があってると思っています)、ターンAぐらいです。この人ストーリーほめられる事が多いけど、キャラの寸劇が面白いだけで、実際ドラマよりMSガチンコバトルの描き方がカッコいいんだよなと思っています。子供の頃好きだったのですが、それが今でもやっぱり面白いと思えます。たださすがにガンダムのバトルは飽きてました。富野バトルとして生まれ変わっています。
設定も良いです。ゲームのチャンプが現実でロボット使って戦闘するってシンプルさがニュータイプとか持ち出さなくても主人公として活躍しています。後のアクセルワールドやソードアートオンラインの流れをすでにこの頃富野監督はやってました。あちらは逆にゲームの中を現実にしてしまっていますけど。富野監督ってこういった先見性があります。ただ表現が古臭い。それはもう強く感じています。彼は巨大ロボットバトルばかりやりすぎました。それ以外の表現方法を持たない。そこがこの作品を高く評価する引っ掛かりです。基本ラインはダーカーとかの流れですが、この時期やってるのは、JOJOの異能力バトル物の流れかと思います。時期的にはまだ溢れてないし、鋭敏なセンスしています。しかし、それを巨大ロボットでやってしまう入れ物の古臭さを強く感じるのです。ここに違和感を抱かない人だけが楽しめるかなと。私は巨大ロボットに親和性が高いのであまり抱いていません。
私は富野監督のセンスの鋭さって時代を読むセンスだと思います。その当時流行りそうなものすべて入っています。しかし巨大ロボットだけ古いのです。異能力バトルの売りは人間が何かに頼らずに人間の力として戦える面白さがあるのですが、それをわざわざ巨大ロボットに持っていく流れはセンスとしては古臭すぎるのです。作り手として時代に取り残されたのをはっきり感じます。古きよき富野作品を見たい人は是非見てください。作品自体のセンスは年寄りとは思えないこの時期すでにこれだけの事をやっていたのかと驚く鋭敏なセンスに溢れています。しかしその表現方法としてロボットバトルしか出来ない長年の慣れと技術があり、ああこの人の時代は終ったんだなと自然に感じてしまう部分もあります。ただ私は古きよきセンスで十分に楽しめるので楽しみました。クリエイターとして一人の人間が終っていくのが悲しいと思う気持ちだけで書いています。自分としては作品の評価には加味していません。すべてが古臭いならすぱっと切り捨てますが他の部分のセンスならむしろそこそこ新しいものを作ってるだけに実に勿体無い。