ソムリエ無冠 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
恋愛ものの神作
一人の女の子が男の子を好きになっていくプロセスをアニメーションで巧みに表現している恋愛ものの不朽の名作。
やや女性的な価値観が入っているが男性でもそれなりに楽しめる。
「~はリアル」という痛い言葉を残したほどである。
2ちゃんねるでは「人生」とさえ言われた同時期のクラナドの方が高く評価されているが、個人的にはこちらを推したい。
クラナドの場合は所詮は1対多数というハーレムアニメに留まってしまっていたが、とらドラ!の場合、メイン以外の恋愛も細かく表現しているため、多数対多数の複雑な人間関係を描くことに成功していると思う。
こういう所は女性作家に書かせた方が遥かにうまい。男性の場合、局面を単純化させ、一度に一つのことしか扱わない傾向があるので、同時進行で2つ以上の恋愛を描くことができない。それゆえ男性は論理性はあるが、ドロドロしたものを描けないので、分かり易いが凡庸な作品しか書けない。
ただ、ラストの家族(特に大河と彼女の母親)の関係修復の部分はやや駆け足気味で読者に委ねる形になっており、ここは完全ではない。
これは想像だが、作者竹宮自身も自分の母親との関係を修復できていないのではないだろうか。何となくそう感じた。
同時期のクラナドと共通していえるのは、最後で恋愛を家庭(家族)というより上位の問題に持っていっている点。
このあたりに注目してみると、たかがアニメとはいえ、侮れない内容になっている。
原作(ライトノベル)も秀作なのだが、アニメの方が言葉ですべてを説明しないため、演出として深みがあったように思える。
自分が青春時代に何をしていたか思い出しながら見れば、いろいろと想像できるであろう。
追記:絶賛されすぎなので星の数を下方修正した。さすがに全アニメで1位はない。