ふりーだむ さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
悪魔の囁き?世にも恐ろしい魔法少女へのいざない。
ひとりの少女がある日見た夢。破壊された世界の中一人戦う少女。その夢の中で白い生き物に囁かれた魔法少女へのいざない。夢を見ていたのはごく平凡な中学生・鹿目まどか。翌朝、普段通り登校した彼女は一人の転校生に出会う。夢で見た少女にそっくりな彼女の名前は暁美ほむら。なぜかまどかのことを知る彼女は、「魔法少女になってはいけない」とまどかに告げる。その日の放課後、友人の美樹さやかと不思議な声により迷い込んだ場所で、暁美ほむらと夢で見た白い生き物・キュウべえと出会う。その時周りの景色が変わり、化物に遭遇してしまう。その化物を倒し、二人を助けたのは同じ学校の先輩・巴マミだった。彼女はキュウべえと契約した魔法少女だった。この日の出会いがまどかたちの不思議な運命の始まり。
私のようなおっさんにとって「魔法少女」のイメージとは、ステッキみたいなアイテムを使い、変身したり、魔法で人助けをしたりするものや、はたまた変身してアイドルになったり、いろんな職業になったりとするもののイメージでした。「魔法少女」の看板を引っさげ、話題になっていたので見たこの作品、そのイメージを全く裏切り、戦う女の子のお話でした。それも、現代風にリアルにアレンジされ、人が死にます。それも友人達が。
圧倒的な絶望感の中、物語が進んでいきます。魔法少女となり魔女やその使い魔と命懸けで戦う代わりに叶えられる願い。その代償は中
学生の女の子にとって重すぎるし、大きすぎる。わずか13~15の歳の少女が人生の決断を出来るかってことですが、それはアニメとして置いといて。内容的には「凄まじい」の一言でした。
作画や、制作会社のことはわかりませんが、一見「萌え」のようなキャラクターとシャフトらしい、というのですかね幻想的な背景の使い方と残酷な物語のギャップが何とも言えないバランスでした。
面白いとかではなく引き込まれる内容ですね。特に3話のまみの死からは、まさに過酷、壮絶という言葉しか出てきません。
戦う、のではなく魔女や使い魔を駆逐し、「殺し合う」魔法少女たち。自分の存在を確かめるように。そして魔法少女になってしまったことに後悔し、それを運命として飲み込む者、悔いて負に取り込まれ魔女に成り下がってしまう者。3話以降、少女たちの運命がいつ、どうなるか。それに引き込まれました。
魔法少女としての使命、宿命、運命。そして叶えられるひとつの願い。主人公のまどかは最後まで苦悩し続けます。後悔し、悲しみながら。
そうして本編もうひとりの主人公とも言えるほむら。彼女もまどかをめぐる悲惨な運命を繰り返し、己を捨て、何も言わずにまどかを守り続ける。終盤に回想する別の時間軸のエピソードは悲しいの一言。何をしてもまどかを守れず、世界を守れない彼女の苦悩が描かれていました。そしてまどかから託された新しき世界を守るために戦い続ける彼女の運命もまた悲しいものだと思います。ひとつ救いなのは彼女の中に「まどか」の記憶があること。まどかの願いの「過去、現在、未来、全宇宙に存在する全ての魔女を生まれる前に自分の手で消し去ること」を胸にまどかのリボンと黒き翼を纏い彼女は永遠に戦い続ける。最後のまどかの母と語り合うシーンは良かったです。
終盤のキュウべえのポーカーフェイスが可愛らしい外見と残酷な運命を告げるギャップや、魔法少女となったがために、好きな人や親友を失っていくさやかの絶望感、そのさやかを思う杏子の思いがとても印象的でした。
物語全般を通じ、最後まで見て、あまりに救いがなく残酷で、大きく、重く、壮大な世界観に「魔法少女」という設定を加えた物語は見ごたえがあり、12話ながら内容濃い作品とも思います。色々な意味で斬新で、残酷で、悲しい物語でしたが、噂に違わず面白い作品でした。