たんたんたぬき さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
主人公の心
谷口監督の初監督作品ではないかと思う。今現役だと感じる監督では佐藤順一監督の次に期待の監督。私は現時点で、傑作選の中でこの監督の作品を4つも入れている。それだけずば抜けた監督だと思ってる。ただ脚本家に恵まれている面も大きいと思う。その点脚本家に左右されない力強さを持つ佐藤監督をNO1に見てるが、いかんせん年齢を考えると、谷口監督の方が未来に置いては期待が持てる。コードギア以降沈黙してるのだけど、第2の幾原監督になってしまうのではないか?と思ってしまう監督。
何故これだけ監督の話をしたかといえば、この作品のストーリーって思い返すとあまり面白くない…。見ているとこれが面白いんだ。次どうなる?のハラハラドキドキの展開。私はこの作品の元ネタである蠅の王はしらない。しかし、若者達のエネルギーや迷いが実に上手く表現されていると思う。成熟した大人ではないところにこの面白さがあってコードギアスにもこういったものが受け継がれていると思う。コードギアスは大人が団員として入ってるが、トップのルルーシュやそれを取り巻く人間模様は思春期の人間達だと思う。大人がそれに混じってるのが奇妙ではあるが、それだけルルーシュの持っている能力だけが突出していてそれで制御しているだけで、精神は若者のものだと思う。
谷口監督の原典はここにあるなと強く感じてしまう。一貫性の無い場足り的な展開のストーリーに一貫性を持たせるのが、主人公の心理である。これがコードギアスと酷似している。意外にもこれらの作品エヴァ的なものを持っている。明らかに群像劇的なのに、実際作品を支配する一貫した部分は、主人公の心になる。ギアスとの違いは何も出来ないコウジが傍観者としての観察を通じて、決断する姿を描いている。これに対してルルーシュは自分こそが世界の混乱の中心となって動いていく。立場が大きく違うけど、この二人のラストの決断のための物語を丁寧に描いている。
この作りはすごく上手い。ストーリーってのはテーマ性などを世界の側に置いてしまうと作り物っぽさが出てしまう。世界は主人公の思いもよらない勝手さをうんでカオス的に進んでいく。これがリアル感をうんでいる。しかしこれでは物語としての面白さが無い。そこで、主人公の内面だけに焦点を当てて、カオス世界との関わりの心を描くのを物語にしている。これはとても巧妙な手法。
ストーリーの構造が、シンプルで分かりやすいリヴァイアスを見るとコードギアスの描こうとしていたものがすぐに分かってくる。そういう意味で谷口監督の原典の様な作品。