たんたんたぬき さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
自然観
この作品を見る前、後でもいいですが、是非漫画ナウシカを見て欲しいです。私は正直言えば基本的な部分は漫画ナウシカの焼き直しなのであまり面白くないです。むしろ漫画ナウシカを見ていると分かる問題点をこの作品で掘り下げています。掘り下げた結果が作者の主張無しです。視聴者に放り投げと言えばそうですが、質の高い放り投げだと思います。見事漫画ナウシカの主張を壊さない形で片付けています。
アニメとしてこの作品の素晴らしさは内容より映像にあると思います。後世界観ですね。これは緻密ですね。宮崎監督が元ネタにしたというどこかの大学教授の論がふんだんに生かされています。日本の自然と言うものを学術的、自己流に再度構築した深みを感じる世界観です。この世界観を映像にしています。
私はこういったSFファタンジー作品は小説としてのストーリーの大半は世界観で締めていると思っています。それらを基にした映像化。動き絵画としての価値を感じます。後もののけ達が自然に溶け込む姿など本当に見事だと思います。そして宮崎アニメといえばアクション性です。これもガンガンもののけ達が森を駆け抜けます。人間の話を避けていたのは、それがやっぱりこの作品にとって人間と自然を台頭に置いている関係性を出してると思います。この作品人間視点じゃないんですよね。アシタカがよその村から来た傍観者としての立ち位置もその視点に拍車をかけています。
ただそういった水平視点で描かれた作品ですが、印象に残ったのは、デイタラボッチとモロです。デイタラボッチはわけの分からないさと神聖の様な感じが良いですね。モロは躍動感と勇壮さを感じますね。森重さんの演じていた猪も存在感がありましたが、それをモロは上回ります。手塚治虫のジャングル大帝を思い出します。お互い白いですしね。
本来なら漫画ナウシカの後編を作るのが筋なのかと思います。だから似通っています。しかし、この作品は漫画ナウシカを続編でアニメ化しないで良かったと素直に思えます。そこに価値を置いています。ナウシカとは違うこの作品独自の個性それを今回書いたつもりです。
ただ惜しいのはサンの声優さんはあまり良くないですね。これはジブリアニメの方針が最近は上手く行ってない一つの例です。ただ松田洋二さんは本当に良かった。また演じてくれないか?と思うのですけど。