Smog さんの感想・評価
4.9
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
【原作読了感想追記】秀逸なストーリー以外にも注目。家族とは何かを問う良作。
コミックが原作。
全11話。
突然一緒に暮らすことになった少女(6歳)と主人公(30歳・♂)の2人を中心に、様々な角度から家族とは何かを問う作品。
随所に飽きさせない工夫が見られ、とても見応えがありました。
フィクションとしての設定を受け入れて楽しむ良作です。
一番の見所は、ストーリーでしょう。
ストーリーの軸は、主人公と少女が家族の絆を深めるというものです。
序盤でいきなり普通ではない設定が説明されますが、そこはフィクションとして割り切って欲しいです。
自分自身が主人公と同年代で独身ということもあってか、「もし主人公と同じ境遇になったら」という視点で見て、とてもよく練られているストーリーだと感じました。
主人公が小さなことで右往左往し、少しずつ少女との絆を深めて家族となっていく様子は、とてもほほえましく応援したくなりました。
また、主人公たちが関わる他の家庭の問題はかなりリアルに描かれていました。
子どもへの接し方、シングルマザーの家庭の問題、嫁姑の関係、父親の教育への関わり方などなど、様々な形で家族とは何かを問いかけます。
家族として生活していく上で、問題解決しないことも多々描かれています。
それぞれの家族が、葛藤しつつ生活をしている様子を見て共感を覚えました。
そういった視点でも楽しめると思います。
基本はハートフルなストーリーですが、実は隠れたメッセージ性に優れている作品です。
僕自身が教育を専門としているため、家族の問題を安易に解決しないというこだわりはとても重要だと感じました。
実際問題、そんなに簡単じゃないですからね。
フィクションの部分で感動を味わい、ノンフィクションの部分で深く考えさせられる、そんなメッセージ性を感じた作品でした。
作画について、物語にあわせたやさしい雰囲気が印象的でした。
冒頭、OP、本編、ED…と、シーンごとに作風が違うという特徴があります。
水彩画や色鉛筆、ときにはクレヨン、ポスターカラーなどを意識させる色づかいで、様々なバリエーションが楽しめました。
音楽について、シンプルな作画を意識して、独特な雰囲気で仕上がっていました。
特にOP、EDは別々のアーティストが独特な声色で歌い上げ、それが作品の世界観にマッチしていたのが印象的でした。
声優さんが特徴的なのも特筆すべきでしょう。
子役は実際に子どもや幼児が演じていたようです。
違和感なく、むしろリアルな子どもらしさが出ていて好感を覚えました。
毎話、見終わったあとに「こんな娘がほしい」と思わせてくれます。
ストーリーだけでなく作画や演出にも工夫が見られ、久々にクリティカルヒットした良作です。
20代後半または30代の独身男性の方、ハートフルな家族の物語が見たい方にぜひオススメしたい作品です。
全11話と短く、アニメに慣れていない方にもオススメしやすいです。
【2012/10/08追記】
連休ということもあって、勢いで原作一気読みしました。
他の方のレビューを見たり、ネットで検索してみると、続きを原作で見たという方は、結構批判的な意見をお持ちのようでした。
きっと、フィクション部分の強調が過ぎたということなんでしょう。
しかし、これはこれでひとつの物語の見せ方、落としどころとして納得できました。大満足です。
高校生編以降は、フィクション部分とノンフィクション部分の絶妙なバランスが崩れてしまったことは確かです。
アニメとしては、2期を作らず物語を閉じておいて正解だったと思います。
そういう意味でも秀逸な作品だと改めて実感しました。