たんたんたぬき さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
戦記物
この作品の面白さって案外オーソドックスな気がする。単純に戦記モノの面白さだと思う。平家物語、太平記、信長、秀吉、家康などの戦国もの。中国歴史ものなどなど。小さな村に迷い込んだ奇妙な仮面をつけた男が圧制に立ち上がることでどんどん勝ちあがって大国の主まで上り詰める物語。これはコードギアスに良く似ていると思う。この作品で特に特徴的なのは、過去にタクティスオウガをやった人なら分かると思うけど、兵隊と言う個性無き下っ端が居ない。RPGのパーティと良く似たそれぞれが特徴を持った専門家で構成されている点。やっぱりここが文句無しに面白い。この点ルルーシュをトップとした黒の騎士団とはちょっと意味合いが違う。個性的なメンバーも居るが、黒の騎士団はそれでもルルーシュ無しでは烏合の衆の面があったと思う。一騎当戦のツワモノぞろいと言う感じだと思う。さてその面白さは細かく語るのも何なんでこれぐらいで。
次に面白いのが、この作品がディストピア物のSF作品だと後から知ること。ネタバレになるので詳しく書かないが、漫画ナウシカを連想した人は多いと思う。後面白いのは、この作品の宗教の概念である。これは最後のほうに分かるこの世界の真実を知ったときにかなり面白いもので宗教を作ったなと思った点。歴史の中で正しい歴史が宗教として民族の中に織り込まれていく様子が人類の歴史のようで実に丁寧。この作者は神話に詳しい人なのではないか?と思うほど緻密な作りこみがしてある。
と言うか、当時から流行りだしていた獣の耳人間に理屈をつけた馬鹿馬鹿しさは笑ってしまうと共に見事と拍手したくなる。
後仮面の謎は神秘と言う形で最後まで謎が解けなかったのはそれはそれで面白かったと思う。それにつらなぬ主人公の特異な性質をラストの流れに持って言ったのは上手かったと思う。この作品本当にストーリーが上手く作ってある。シンプルな戦記モノから、世界の真実に向かい、そして最後に仮面の主人公の特異な性質に焦点を当てたラストに向かっていく。小さな仮面主人公から広がった話が世界まで広がっていき、歴史も抱えて話しに深まりが出て、そこからまた仮面主人公に焦点を当てて閉じていく。これがすべてこの仮面主人公と繋がってるから驚きである。実に丁寧で良く考えられたシナリオつくりだと思う。