橙色夜想曲 さんの感想・評価
4.8
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態：観終わった
抗いの叫び
民族・性別・障害・姿形等、可視の差別。
出自・門地・能力等、不可視の差別。
不可視のものを可視化することによって、
より差別を平易なものとし、またその理由を正当化する。
しなければ、体制の維持は不可能。
封建制度下の日本における差別問題から
現代社会の病理を問うた
漫画界の金字塔「カムイ伝」とは逆に、
文明社会の破綻した未来の日本を舞台に、
同じく差別問題へのアプローチを試みた、
非常に重いテーマの作品です。
個人的に、近年最高のアニメ。
部分的な作画の破綻を補って余りある、
緻密な世界観と重厚なストーリー。
突然現れる、美麗で幻想的なイメージ画像に
絡みつくような ＥＤ 「割れたリンゴ」「雪に咲く花」。
早季と真理亜。
残された者と、省かれた者。
「運命に従順に 熟すのを待つもんか」（割れたリンゴ 渡辺早季）
「微かな光 顔を上げて 静かに忘れられたい」（雪に咲く花 秋月真理亜）
二人のヒロインの儚くも悲痛な抗いの叫びが、
心に突き刺さります。
