cross さんの感想・評価

4.2
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態：観終わった

中二病をコミカルに表現、更にシリアス要素と恋愛要素も絶妙な良作。【総合評価：85点】

2012年秋に12話、後に追加で1話が放送された作品。

この作品は、中二病を卒業し高校生活をエンジョイしようと意気込む主人公の富樫勇太と、未だ中二病全快のヒロイン、小鳥遊六花
そして、中二病、元中二病やら中二病ではないもののちょっと変わった人物などが織り成す青春ラブコメです。

製作が京都アニで作画の出来栄えは文句なし、OPとEDは楽曲、映像共に作品に合わせながら高いクオリティー、キャラクターも従来どおりの可愛らしいタッチでした。
そして、物語面は一言で言うと12話の尺でありながら、その12話を有意義に使いこなして綺麗にラストまで纏め上げた構成力がすばらしかったように思えます。

序盤は中二病をコミカルに表現しつつ、高校生活を描きながら登場人物を徐々に登場させていく展開
中二病と言う普通は煙たがられる存在を面白おかしく表現していて、視聴していて嫌気が指す事がありませんでした。
キャラクターデザインが見慣れた京アニタッチの可愛らしいものであった事が中二病の癖を弱め、コメディ色のみを印象付けるのにかなり働いていたと思います。

ヒロインの中二病全開ながらも、ちょいちょいキャラを演じきれずに見せる仕草や言葉は、もう計算されつくしたような萌えポイントでした。
そんな狙い済ましたような萌えなんぞ、と思いつつも不覚にもこの計算されつくした萌えポイントにものの見事に虜になってしまいましたｗｗ

登場人物も出揃ってから、コメディ要素を徐々に薄めていきながら、シリアス要素、恋愛要素を徐々につよくしていきます。
{netabare} ヒロインの家庭事情に迫り、彼女が中二病患者となってしまった根深い経緯を知る。
そして、主人公、ヒロイン共にお互いを意識していき、告白、付き合うに至るが、再びヒロインの家庭事情も相まってかみ合わなくなっていき、ラストはちゃんとハッピーエンド{/netabare}
12話構成で前半のコメディ要素の強さの割にシリアス要素、恋愛要素もしっかりと詰め込まれています。
中二病の要素は残しつつも、中盤から終盤は序盤とはまた違った面白さを見せてくれました。

個人的な意見としては前半のコメディでしっかりと視聴者を掴み、キャラクターへの愛着も沸いてきた所でシリアスと恋愛の要素を強めていくと言う展開がしっかりと機能したんだなと感じております。
ですので、コメディ色の強い序盤の展開でキャラクターに何処まで愛着が沸くかと言うのがこの作品を楽しむ上ではかなり重要になってくると思います。
前半でキャラクターに愛着さえ沸けば中盤から終盤、どの回も非常に楽しむ事が出来ると思います。

正直、どんな優れた物語でも、伏線を張る為とか意味不明なサービス回とかで全ての回をそれ単体で素直に楽しいと感じることは少ないです。
しかし、この作品に関してはどの回も楽しむ事が出来きましたし、無駄の無いつくりだった様に思え、自分の中ではかなりの高評価に繋がっています。


京アニと言うこともあり視聴前の期待度も結構高めだったにも関わらず、期待以上の満足度が得られました。
2012年度の作品の中でも、個人的ではありますがトップクラスと思っています。
個人的には1話から最終回までどの回も楽しめた良作と思っておりますので、未視聴の方は是非序盤だけでも一度視聴してみてください。