ぶっかけ さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
お後がまたよろしくてお先も前もよろしくね
軽音部、魔法少女、生徒会、雀士、バスケ部、アイドル
あらゆる女子グループにスポットを当ててきたアニメがついに
女子落語家まで引っ張り出して来た。こうなればなんでもありだな
というか次から次へと繰り出されるあの手この手にはホントに頭が下がる
作品はギャグ。原作は「かってに改蔵」や「絶望先生」で有名な久米田康治とあって
シモネタを始め、触れることがはばかられるようなタブーもシニカルにイジり倒す久米田節が炸裂している
彼の作品と言えばネタは良いのだが、登場人物のキャラ設定が漠然としていて存在感も薄く
それがよくわからない世界観を更に不可解にしていると感じていた
しかし、今回は女子落語家5人組という明確なキャラを獲得したことで非常に見やすいものとなっていたし、今ひとつ弾け切らなかった氏の色に着地点を見たような気もしている
構成も非常に面白い。物語は基本、登場人物達の職場である寄席の控え室で繰り広げられる雑談だが
一室で延々と展開する会話劇に付きまとう閉塞感を払拭するかのように、TVバラエティーで言う所のロケにも出る。
数話に一回程度だが休日なんでしょうな。女子五人が連れ立って街へ繰り出し
これが観てるこちらの息抜きともなって効果的に機能していたように思う
最近流行りの女子5人組と来れば嫌な予感のする方もおられるでしょうが
その辺りは心配無用。萌え要素は薄い。
登場人物達は曲がりなりにも大人の女性であるし、何よりスレているw
無邪気さは微塵もなく、甲高い声で喚き立てるJKやロリっ子らのガキとは一味違うのである
ここからは余談で私自身の昔話をするが、もう少しお付き合い願いたい
10年ほど前だろうか、ある日仕事で付き合いをしていた取引先の女性が職を辞する旨を伝えてきた
会話の流れで辞めてどうするのか尋ねると彼女は笑顔でこう言った
「落語家になろうと思います」
何を言ってるのか理解するのに数秒掛かったし、当然激しく突っ込んだ。
何故ならこの子、それ程面白い人ではなかったのだ
飲みに行く機会もあり、それなりに人柄を理解する中で
明るく良い子だとは思っていたが端的に言うと「やらかす」のである
噺家を目指そうするメンタリティの持ち主だけあって話好きだった
必然会話をすればウケも狙う
が、頻繁にスベる。要するに「やらかす」のである
そんな訳で当時の私に彼女の選んだ道が荊棘に見えたことは言うまでもない
最後に彼女の顔を見た日「がんばってみます」と一言残し去って行った後ろ姿が妙に頼もしかった
そしてこの話にはまだ続きがある
一年ほど前TVを観ていると生命保険会社のCMが流れた
そのテーマは「日本の女性はもっと輝く」
女性の社会進出に伴って生命保険のイメージアップを狙ったCMだったと記憶する
笑顔で働く女性が次々と映り1秒ごとに切り替わる
そのある一場面で私の目が留まった…!!
画面には女性落語家 ……ヤツだ
間違いない。十年近く経っていたが人の面影とは気付くものですね
念の為ネットでも調べた。◯亭〇〇、本名の欄には私の知る名前が記載されていた
この瞬間あの日彼女が放った「がんばってみます」が十年越しでガツンと響いたのだ
加えて言うなら彼女に会っていなければ私はこんなに「じょしらく」を褒めていない
いずれ時間を作って彼女の出る寄席にでも行ってみようかと思う
やらかしてないといいのだが…