ほるん吹き さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
障害をも乗り越える愛の力
大きく分けて二つの話が展開された本編。
まず、紘、みやこ、景の話。
紘をめぐってのみやこと景のドロドロな展開は終始ハラハラでした。紘がどちらかと仲良くしていると、タイミング良く(悪く?)もう一方が介入してきて修羅場に突入したり…。
特に7話のラストのみやこが怖かったです^^; 最初はまだ正常だったみやこの心情が、文字で埋め尽くされていく画面とともに不安定になっていく様子が、インパクトのある形で伝わってきました。
こういう独特な演出がこの作品には多くて、各場面が凄く印象に残ります。
このままヒロイン達がヤンデレ化、物語もバッドエンドになると思いましたが、そこからラストはよくまとめられたなと思いました。
そして、千尋と蓮治の話。こちらの感想を特に語っていきたいと思います!
記憶障害という病気持ちのため、悲劇的な運命を背負っている千尋と、ただひたむきに彼女を愛し続け、一緒に困難を乗り越えようと頑張る蓮治。この二人の関係がとてもよかったです。
「自分が忘れる以上に人に忘れられる方が恐い。」という千尋。そういう意味でも自分を愛してくれる蓮治は特別な存在という以上に、彼女自身の救いの道でもありました。
ラストは上げて、落として、上げる展開に感情が揺さぶられまくりでした!!
・二人の「1日だけ恋人」のデートはとても初々しく、見てるこっちも恥ずかしくなるような展開でした。
→(・∀・)ニヤニヤ
・そしてそんな幸せな瞬間を打ち破るように、日記を破り捨てる千尋。
→ガ━━(゚Д゚;)━━ン!!!!!
・「13時間て、長いんですね…。」
→キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!
デートの最後に読んだ、千尋が作った小説の結末がバッドエンドで終わったので、なんとなく嫌な予感はしてましたが、まさか千尋が蓮治との別れを決断するなんて…。
蓮治との日々を綴った日記が、千尋の記憶の欠片が宙に舞っていくあの瞬間の絶望感。
「千尋の記憶は一度なくしてしまったらもう二度と戻らない。」と作中で何度も何度も繰り返し言われていたその言葉が胸に突き刺さるようでした。
蓮治はそこで一度立ち止まってしまうのだけど、それでもわずかな可能性を信じて一枚一枚日記を拾い集めていく。
結果そんなことしなくても千尋との関係は修復するのだけど、とにかくまず出来る事から全力でやろうとする蓮治のこういう姿勢はすごく好感が持てました。
そして、蓮治の事を忘れる事はなかった千尋。
日記を破り捨てる、記憶のタイムリミットの13時間が過ぎる。そんなことでは蓮治との思い出は消えることはありませんでした。想いの強さが、愛の力が障害を乗り超えたともいえる瞬間。これまでの二人の歩み、積み上げてきたものは無駄ではなかったと証明されました。
もし蓮治が途中で挫折しあきらめてしまっていたら、千尋が蓮治の事を思い続けるのをやめて本当に忘れてしまっていたら、こんな奇跡は起こる事はなかったわけで。
とにかくもうこの二人にはなんの心配もいらないと思えました。…というか、これ以上鬱展開はイヤなので幸せになってくださいお願いします。
蓮治が千尋に、「ずっと一緒にいる!絶対にもう忘れさせない!」と唱えるたびに千尋が鎖の群から解放されていく演出がまたよかったです!
どうでもいい話ですが、この作品名、「えふ」なんですよね。ずっと「いーえふ、いーえふ!」言ってたのがちょっと恥ずかしい…。