MmmM さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ビビッドなビリヤード
なんでしょう、とにかく面白くて仕方ない。
稀代の名作の位置に近いと思います。
そこそこ色々なアニメは観てますが、この作品ほど「もっと評価されるべき」と思うものはありません。
アクションシーンとか作画とか、確かにそういった部分が出色ではありますが、ドラマとしての圧倒的な面白さがまず下地にあります。
またヘタな例えしますが、ビリヤードっぽいです。
一つのボールが他のボールに当たり、それらが動いていく。
それを追っていっている。
まぁどんな作品でも同じことですが、この作品は動きの見せ方がとても上手い。
転がっていく様子をボール自身の一人称視点で追っていたと思えば、ボール同士がぶつかった瞬間に三人称視点に切り替わる。
そしてぶつけられたボールの動きに次々フォーカスされていく。
なにより各ボールの色彩が非常に強く鮮やかで目を奪われ、いつの間にか、ぶつかり合っている場の様子に引きこまれてしまいます。
質の高い作画や動きの良さ、丁寧に描かれた構図、そのモブまで動かさなくても・・・と思わせる作り込みなどが強力にその後押しをしているということもありますが。
それ故に忘れがちになりますが、その時止まっているボールでもいずれしっかりとゲームに関わってきます。
また、ゲーム運びにおいてさして重要でないボールまでも色彩鮮やかで魅力的です。
しかしながらボールの追い方は素晴らしいのですが、置き方は今ひとつです。
これは時間という枷にもよるのでしょうが、「そういう前提なのでよろしくね」で流される部分も多々見受けられます。
わかりやすい部分でいえばマリアとカナンの情の深さに対するバックグラウンドがあまり描かれていないなどの残念さは残ります。
先にドラマと述べましたが、これは全体として各登場人物の成長物語です。
ご覧になった人ならお分かり頂けるでしょう。
話が進むにつれ、各人物の考え方が他の登場人物との関わり合いで少しづつ明確に変化していき、ラストに繋がる見せ方も素晴らしいです。
また、各所に散りばめられた言葉の使い方が秀逸と思います。
随分と言葉に対して意識を行き届かせた作品ですね。
最後の言葉も、他の見方をする余地を敢えて残している面白い演出でした。
原作はゲームだそうですが、プレイしていないので比較してどうこうはわかりません。
そういえばカナンの登場する最初のシーンも最後のシーンも銃を構えてました。
やはりビリヤードと繋がりがありますね。
両方「ショット」ですから。
・・・何言っちゃってんのこの人。