「パプリカ(アニメ映画)」

総合得点
72.1
感想・評価
836
棚に入れた
3967
ランキング
1207
★★★★☆ 4.0 (836)
物語
3.8
作画
4.3
声優
3.9
音楽
4.0
キャラ
3.8

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ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 2.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

「夢」がテーマ。映像表現に力を入れすぎかも。

原作未読。今敏監督作品。

天才科学者の時田浩作(ときたこうさく)が「他人と夢を共有」することのできる「DCミニ」という機械を発明する。
主人公のあっちゃんこと、千葉敦子(ちばあつこ)は、DCミニを使って相手の精神を治療するセラピスト。
しかし、ある日、そのDCミニが盗まれてしまう。


「夢」。ドリーム。
眠っているときに見るほうの夢です。
夢ならどんなことができるか、それをいかに表現するか、試行錯誤を繰り返して作られた、いわば映像作品のような映画。
視聴者に「どれが夢のシーンでどれが現実のシーンなのか分からなくさせる」という狙いが感じられます。

冒頭の夢と現実の混同セリフは、名セリフと言って良いでしょう。
いきますよ。
{netabare}
うん。
必ずしも泥棒が悪いとはお地蔵様も言わなかった。{netabare}
パプリカのビキニより、DCミニの回収に漕ぎ出すことが幸せの秩序です。{netabare}
五人官女だってです!{netabare}
蛙たちの笛や太鼓に合わせて回収中の不燃ゴミが吹き出してくる様は圧巻で、{netabare}
まるでコンピューター・グラフィックスなんだ、それが!{netabare}
総天然色の青春グラフィティや一億総プチプルを私が許さないことくらいオセアニアじゃあ常識なんだよ!{netabare}
今こそ、青空に向かって凱旋だ!{netabare}
絢爛たる紙吹雪は鳥居をくぐり、周波数を同じくするポストと冷蔵庫は先鋒をつかさどれ!{netabare}
賞味期限を気にする無頼の輩は花電車の進む道にさながらシミとなってはばかることはない!{netabare}
思い知るがいい! 三角定規たちの肝臓を!{netabare}
さぁ! この祭典こそ内なる小学3年生が決めた遙かなる望遠カメラ!{netabare}
進め! {netabare}集まれ! {netabare}私こそが!{netabare} お代官様!{netabare}
すぐだ! {netabare}すぐにでも! {netabare}わたしを迎えいれるのだ!!{/netabare}{/netabare}{/netabare}{/netabare}{/netabare}{/netabare}{/netabare}{/netabare}{/netabare}{/netabare}{/netabare}{/netabare}{/netabare}{/netabare}{/netabare}{/netabare}{/netabare}{/netabare}{/netabare}

怖い、怖すぎる……((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル
しかし、直後にセリフを映像化しています。
作画や演出に関しては文句なしですね。


さて、みなさんはどんな夢を見るでしょうか?

ほとんどの人が、夢の中で思い通りにに動く体験をしたことがあると思います。
あんなことやこんなことも……うふふ。
でもそういうときに限って、すぐ目覚めてしまうんですよね。

逆に、歩こうとしても歩けない、進もうとしても進めない。
そんなもどかしい夢を見たこともあると思います。

この2種類の夢がカギになっています。

{netabare}
犯人は、夢の世界を現実からの「逃避」として考えています。
「自由になる夢」には何の苦しみもありません。
それを自分だけのものにしようとしている。
どんな仕組みかは分かりませんが、その世界は現実世界をも浸食します。

対するは、粉川(こなかわ)警部。
彼はトラウマを抱え「自由にならない夢」に苦しんでいます。
しかし、パプリカに出会い、夢の中でトラウマを克服することで、自由になる夢を手に入れ、「悪夢の世界」で行動できるようになります。

パプリカは、本体の千葉敦子とは全然違う性格です。
現実世界で抑圧している部分の象徴なのでしょう。

現実と夢が一緒になった際、パプリカ+千葉敦子という完全な存在になり、悪夢の世界を一気に崩壊させます。
{/netabare}

このように、「夢とは現実世界で抑圧されている部分の表れである」という主題をもったストーリーです。
ただ、夢の映像表現に気を使いすぎて、そのメッセージ性がほとんど伝わってこないんですよね。
そこが残念なところです。

しかしその分、映像・音楽はハイクオリティ。
単純に、抽象的な映像作品として楽しめばいいのではないでしょうか。

……そして、驚愕のオチが待っています。
全世界のおデブちゃんに捧ぐ。

投稿 : 2013/03/02
閲覧 : 582
サンキュー:

37

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