. さんの感想・評価
3.6
物語 : 4.0
作画 : 1.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
二期ではキチンと作者のメッセージを受け取りました。
(バグってレビューが壊れていましたので修正しました)
一期では酷評しましたが、二期からはキチンと作者のメッセージを感じ取ることが出来ました。
なので嫌いでは無い作品です。
本作の評価を決定付けているのは作画のひどさです。
特に1話がひどい。時間が足りなかったのか、予算が足りなかったのか。全くアニメーションしておらず、正に紙芝居と表現出来る画面が延々と続きます。2話以降は多少はましになってきますが、それでも平均以下レベル。特に自動車等の乗り物の移動表現はひどいの一言。人形劇のおもちゃを誰かが操作しているかの様です。人物描写もこれまたひどい。顔のバランスは崩れていますし、構図に無理のある箇所も見受けられます。これ、本当にプロの仕事なのかと疑いたくなります・・・。
物語についてはキチンと筋が通っていると思います。一期よりもメッセージ性があり、ストーリの根底にある部分をキチンと描写しようと言う姿勢も感じます。
義体の少女達に関する描写も有り、特にクラエス(Claes)とトリエラ(Triela)については良く描けていたと思います。が、ヘンリエッタ(Henrietta)やリコ(Rico)は描写が足りず、まるで殺人を楽しむ殺人鬼の様に見えてしまう点が残念です。
声優さんは豪華ですね。特に言う事はありません。マルコー・トーニ (Marco Toni)はミスキャストだと思う点を除いて・・・。
音楽についても一流のスタッフが参加しています。
OP曲はKOKIAさんで「たった1つの想い」。彼女自ら原作を読み、そしてそのイメージで作曲したと言う入魂の一作。KOKIAファン以外にもお勧め出来る文句なしの名曲です。
ED曲はLiaさんで「doll」。泣き歌のLiaさんです。もう泣けと、曲聞いて泣けと言う暗黙のメッセージです。
更に13話のみのED曲となりますが、こちらもLiaさんで「human」。完全に狙ってますね・・・。
そしてちょっと毛色が異なるのが8話でのみ掛かるED曲。
英国民謡で「Scarborough Fair(スカボロー・フェア)」となります。今まで数多くの歌手に歌われてきた世界的な名曲です。これを多田葵さんがANGEL VOICEでもって歌い上げます。コレ聞いて感動しない訳が無いでしょうに・・・。
なんとも卑怯な選曲・・・。
作者の本作品に込めたメッセージについてですが、13話のED曲で全てが語られていると思います。作りが甘い本作品ですが、確かに作者からのメッセージを受け取りました。
~余談(おまけ)~
8話ED曲の「Scarborough Fair」について考察してみます。
歌詞の中で何度も”パセリ、セージ、ローズマリーにタイム”と歌われます。一体どんな意味があるのでしょう?
民謡ですので、歌詞も歌い手によって一部変わります。またその不思議な歌詞故に訳者によって解釈も異なります。
あくまでも私の考えですが、私は以下の様にこの曲を解釈しました。
歌詞の中で”縫い目の無いシャツ”、”海岸と海の間に1エーカーの土地を見つける”など、およそ実現不可能な事が出来たら2人は恋人になれると歌っています。実現不可能な事=恋人になる事は出来ないと解釈する事も出来ます。その解釈にもとづいて8話のクラエス(Claes)について考えてみます。彼女は担当官であるクラウディオ・ラバロ(Claudio Labaro)に対してほのかな恋心を抱いていました。しかし、彼はもうこの世には居ない人。まして自分の記憶の中からも(洗脳による副作用の為)、その存在が消えてしまった人。でも彼女は全てを忘れていません。言葉にする事は出来ないけれど、彼女の心は奥底でラバロを覚えています。体は彼と過ごした日々を覚えています。きっと彼女は無意識の内に愛する人ラバロとScarborough Fairの歌を重ねていたのでしょうね。どんなに愛しても結ばれる事の無い愛。とても切ないお話ですね・・・。