. さんの感想・評価
2.9
物語 : 1.0
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 2.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
こういう世界設定を描くならば、作者のメッセージを込めていただきたかった
本作に反対の立場から意見を書かせていただきます。
本作をお好きな方は、どうか読まずにお戻り下さい。
本作は倫理的に問題の有る問題作かと思います。
その世界設定に嫌悪感を感じる方も多く居られます。
残念ですが、私もその一人。この設定にはものすごい嫌悪感を持ちます。
本作における少女達は障害や事故で体の自由を失った肉体を改造され、義体と呼ばれるいわばサイボーグの体を与える事で肉体再生を施されます。その上で記憶を改竄し、無意識下に「命令に絶対服従であること」「殺人に抵抗を感じないこと」「担当官を守る為に自己犠牲を厭わないこと」という洗脳感情を埋め込まれ、殺人マシーンとして仕立て上げられます。この設定だけでも十分に過激ですが、本作では更に”義体化される対象は少女のみ”、少女を管理する担当官は”成人男性のみ”と言う追加設定が有ります。これは女性軽視であり、男性の所持欲・征服欲を満たす為だけの設定であると思うのです・・・。
美少女達が過激な武器を持って、派手にアクションを行う。それは面白いですよね。私も良いと思います。
ですがこの作品の場合、その描写を行うために前記する様な過激な設定が必要であったかという点で大いに疑問があります。義体化される事で少女達は肉体の自由を手に入れます。ですが大きな代償として記憶を消され、一生を組織に束縛されると言う運命を背負う事になります。果たして彼女達はそれでも幸せなのか? 本作は一番重要であるその点について描ききれていないと感じます。故に美少女達が派手にドンパチする為の説明として、この過激な設定が存在する。その様にしか感じとれません。
少女達は本来弱く、一人では生きていくことすら出来ない存在です。それを肉体改造し、正に身も心も担当官(男性)の私物にされる訳です。これは男性の所持欲を満たす良いシチュエーションであるかも知れません。作中、ヒロインの一人で有るHenriettaは暴行を受けた障害により、子宮が無いと言う描写があります(が、女性としての機能は失われていない)。これなども正に男性側にのみ都合の良い設定であると受け取れます。
作品中、確かに少女達が日常生活の中で幸せを感じ、笑顔を見せる描写も有ります。ただそれは本当に心からの幸せなのか?記憶を消され、洗脳下で得られた偽りの感情では無いのか?日々の殺伐とした生活の中で、ほんの一時のやすらぎに心を許している瞬間に過ぎないのではないか?
担当官に恋心をいただく少女達。穿った目で見てしまうと、恋まで出来てホラ幸せでしょう?っという(設定に対する)言い訳の描写に見えてしまいます。
作者はこの作品で何を書きたかったのか?単に美少女がドンパチやる場面のみを描きたかったのか?それとも私の理解出来ない様なメッセージが込められているのか?
いずれにせよ、この様な重い倫理観を例えアニメの世界でも持ち込んだ以上、作者のメッセージを誰にでも解る形で表現していただきたかったです。
作者のメッセージを感じ取れない本作。私は嫌いです。