「王立宇宙軍オネアミスの翼(アニメ映画)」

総合得点
71.9
感想・評価
275
棚に入れた
1128
ランキング
1250
★★★★☆ 3.9 (275)
物語
3.8
作画
4.3
声優
3.7
音楽
3.9
キャラ
3.7

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ネタバレ

たんたんたぬき さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

ガイナックス

この作品は思い出深い。始めてみたのは中学生だった。まだ幼かったと思う。面白さが良く分からなかった。宇宙だからガンダムみたいのを想像していた。全く違った。大人になってから見直してみたら、えらく面白かった。年齢によってアニメは絶対に分けなければならないとこの作品で初めて悟った。中学生で理解できないとは思わない。ただこれを理解できる中学生は幸せではないと思う。そういうエヴァを作ったガイナックスの暗さが全面に出たアニメだった。テーマ的なものはやっぱりエヴァと良く似ている。人生の停滞。それに対して若いエネルギーが満足してくれないとすごく奥底からチクチクとやってくる。

実際主人公はそれに対して向き合わない。初期きづいてすらない。細かい事は忘れてしまったが、あるキッカケでそれと向き合うようになって変わっていく。この辺りはシンジクンとはまるで違う。これは集団の持つ力なのかなと思う。庵野監督一人ならばこうはならない。集団の持つ良い意味で熱気に流されていく感じが良く出てる。

好きなシーンは、一度宇宙ロケットを諦めようとした時に主人公が率先してやり遂げようとした時。この作品はおそらくアニメ製作をそもまま制作者が投影していると思う。協力しているお年寄りたちを引っ張っている感じが出てる。

もう一つ好きなシーンは宇宙に出て語るシーン。これは想像力の世界なんだと思うけど、特別な場所に来た高揚感とは逆の悟りの様な感じが良く出ている。それが真実なのかはわからない。でも冒険者と新天地は未知へと向かう人類の永遠のテーマだと思う。そういうものを語るタメの知識も持たず体一つで集団となって若者が作った熱気がすごく出てる。この会社がエヴァを作ったと思うと不思議なものがある。エヴァと言う作品はほんの少しのバランスで躓く思春期の揺れみたいのを描いてるのかもしれない。この作品は主人公はある程度大人だと思う。私が理解できなかったのはやっぱり感性よりも経験だと思う。それが主人公の年齢にすごく合ってる。思春期と言う狭い範囲では語れない若さを扱っていたガイナックスが力があった頃の作品。

庵野監督が抜けた今どうも会社に力を感じないガイナであるが、ガイナのスタートがこの作品であったのはすごく合ってると思う。

ただ今から思うと、エンターテイメントと言う事では多少物足りないと思う。熟練の文豪が書いたと言うより稚拙だけど同世代の心を捉える若者が書いた私小説って感じが強い。

投稿 : 2012/09/16
閲覧 : 269
サンキュー:

5

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