てけ さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
現時点で最高のアニメ!実は深い世界設定【改稿】
CLANNADの後日談ですが、こちらが本編と言えるでしょう。
先にCLANNADを見ておく必要があります。
CLANNADのレビュー→http://www.anikore.jp/review/345519
CLANNADの主人公、岡崎朋也が高校を卒業し、社会人になり、家庭を築き、果ては街全体と関わっていく物語です。
その他、CLANNADで出てきた、他の登場人物の過去や現在も描かれています。
テーマは「人生」。
これはおおげさな表現ではなく、人が生まれ、成長し、何かを果たし、去っていく。
そういう「人生」そのものを描いているからです。
ストーリー、演出、風景、音楽、どれをとっても文句のつけようがありません。
絵が受け付けないとか、○○という声優が嫌いだ!とか、制作会社が嫌いだ!とか、そういう特別な事情がないのならぜひ見ていただきたいです。
感動します。泣けます。何度も泣けます。
とりあえずティッシュ1箱くらい用意しておきましょう。
ただ問題点が一つ。
物語構成の問題で、世界感がわかりにくいこと。
具体的に言うと、{netabare}何度も世界をループしているストーリー{/netabare}なのに、それを直接表現する言葉がないんです。
演出にヒントが隠されてはいるのですが、初見で見破るのは難しいと思います。
以下が詳しいネタバレ。
{netabare}
全編を通し、カギとなるのは智也・秋生・渚・汐、そして町そのものです。
まず、渚は昔一度死にかけますが、秋生の願いによって命を取り留めます。
そのときに渚と町が一種の繋がりを持ちます。(幻想世界にいる少女=町の意志)。
渚が幻想世界の風景を知っているのはそのためでしょう。
渚が体調を崩すのは、町に変化が訪れるときなのが見て取れると思います。
さて、時は流れ、渚は汐を出産することで命を落としてしまいます。
ここで渚→汐に町の意志が受け継がれます。
渚のときと同様に、町の開発が進むと、汐の体調が悪化していきます。
そして、CLANNADアフターの終盤で汐が死んでしまったあと、智也も一緒に倒れます。
なぜ元気なはずの智也が倒れてしまったのか。
そこがキーポイントです。
そのあと智也の意識は…学園生活の最初へ。
なぜか。
智也の願いは「渚と汐と3人で幸せな暮らしをすること」でしょう。
そこで町の意志=幻想世界の少女がこう言うんです、「その力を与えるために、この町に力を取り戻させてくれ」と。
一度、町は秋生の願いを叶えたときに力を使っています。
さらに、町の開発が進んでいくことで、町そのものが弱っていきます。
その力を智也に取り戻させて欲しいというわけです。
そして智也は学園生活に戻り、再び渚と会い、新たな人生を歩みます。
アニメでは時間制限があるのでスラスラ物事が運んでいるように見えます。
しかし、実際は、「何度も渚や汐の死を体験し、ループし続けている」んですよね。
だからCLANNADの1話で「この町は嫌いだ、嫌な思い出が染みついた場所だから」と智也がつぶやいているんです。
細かくいえばまだまだたくさんの伏線があります。
・ことみの両親が研究していた統一理論
・「渚に出会わなければ…」という智也の言葉
・自らの体から離れて活動できる風子の存在
・幻想世界の少女の姿や置いてある数々のガラクタの意味
これらは、「もしもあのときこうしていたら」と、幻想世界がIF世界の集合体であることを暗示させています。
さて、このアニメの設定では、町の力の源は人々の意志です。
何度も繰り返し人生を送り、人々の願いを叶え、そのときに生まれるのが「光の玉」。
光の玉は幻想世界に蓄積されていきます。
その力が集まりきったそのとき、町の意志が智也の願いを叶え、渚の命を再び救うわけです。
渚が汐を産んだときに降り注いでいたのは、雪だったのか光の玉だったのか…。
{/netabare}
誤解覚悟でざっと説明しましたが、大筋はこんな感じです。
ちなみにこのネタバレを知らなくても、★4.5~5.0の価値はあります。
それに加え、世界観がしっかり作り込まれている作品。
構成が完璧だったら★6.0くらいあげたいですね。
CLANNAD、アフター両方合わせてぜひ見ていただきたいです。