九条 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
謎が謎を呼ぶ、真実への旅路。
序盤から伏線に次ぐ伏線のミステリアスな展望であり、謎が謎を呼ぶエキセントリックなファンタジー。
時間軸の変移や輪廻転生などが、目紛るしく往来しており、既に冒頭の段階から謎解きへの道標が
連続的かつ重層的に仕込まれている。恐らく初見では、把握し難い蓋然性が高く、部分的に考えれば
ウィークポイントではあるが、総合的に考えると、欠かすことの出来ない重要な導入部分に該当する。
その意味において、本編の真の価値は、一度限りの視聴では中々推し量れず、再度の視聴を要する。
しかれども、伏線の集約に圧倒的なカタルシスがあるので、一度の視聴で理解することは可能であり
序盤の謎めいた展開からは一転し、怒涛の逆襲が始まり、そして、壮大な冒険活劇は終わりを告げる。
月並みではあるが、中盤から終盤の核へと導くまでの布石が冗長であり、視聴率を念頭に置くならば
到底考えられない手法である。本作に限って言えば、更に厄介なことに頭の中が疑問符だらけになる。
要するに、回を追う毎に期待が徐々に膨らんでいくのではなく、方向性さえ察しが付き難いのである。
最早、企画段階で没になっていても何ら不思議ではない様相を呈しており、序盤で如何ほど視聴者が
離れていったかは想像に難くない。本作は、隠れた名作として定評がある一方で、逆説的に捉えると
意図的に隠れるべくして隠れているとも言えなくはない。つまり、視聴者が自らの手で発掘し認知する。
制作サイドは、このような一種の挑戦状の如きメッセージ性を作品に込めているのではないだろうか。