たんたんたぬき さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
らしくないラスト
Vに見た後に見たのですが、いい加減ガンダム飽きてきたなと思っていました。この気持ちこそがこの作品の評価に大きく関係しています。ガンダムらしくないから面白かったと言えばこれは見た順番で決まってしまうなと思います。でも私は所詮作品の評価は個人の感想の延長に過ぎないと思っています。理性でどうこう考えようが面白いか面白くないかは感情が下すものだと思っています。
この作品が特に良かったと思ったのは、人が死ぬ富野ドラマに思い切り飽きてました。物語の作り方がすごく単調だと感じました。巨匠に向かってこの人物語つくりの力ないんじゃないの?ぐらい失望していました。Vは結構丁寧に作ってあったのですが、本人も分かってますが、途中から崩壊します…。この作品見て富野が死ぬドラマ以外で物語作ってるーって感動しました。古典の話をモチーフにしたらしい女王の入れ替わりの物語は面白かったです。戦争を互いの立場を変える事で見方を変えるって流れは実に上手いと思いました。特にディアナに扮したキエルが演説をしたシーンはぐっと来ました。演じているのではなくキエル自身が自分の言葉で演説するって所にこの土壇場をどう切り抜ける?とハラハラしてた分爽快感がありました。
後はやっぱり黒歴史ですね。これは今でもアイドルとか消してしまいたい過去をこう呼ばれてますね。このアイデア面白いですね。無かった事にして歴史のやり直し。その黒歴史のオーパーツがターンAガンダム。神々の指紋とか90年代に流行っていたので、ブレンを経て生かされたオカルト好きな富野の真骨頂だと思います。
でもガンダムで泣きそうになるってのは始めてかもしれませんね。ラストが良かったんですよ。ソシエの失恋と、ディアナの死を看取るロラン。ドラマが終りそれぞれがそれぞれの道を行き別れる。この別れのシーンがとても切ない。そしてロラン自身もいつとも知れないディアナの死に付き合う日常が始まりおやすみなさいでラストを迎える。余韻と静寂と言う言葉が似合うラストです。これが皆殺しの富野が描くラストなのか???こんな穏かで静かなラスト初めてかもしれません。盛り上げたり人がたっぷり死んだりするラストの多い富野監督が、静かにラストを描くこれが良かったですね。
私はやっぱりファーストガンダムが好きですけど、それでも言えるのは、富野監督の魅力って変化ですね。これを見てそう感じました。