たんたんたぬき さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
押井監督
私はイノセンスがあまり好きじゃない。本当はこっちよりパート1のパトレイバーの映画にしようか迷った。
でも敢えてこっちにした。押井のすごさは映像にあると思う。でも押井節の様な台詞回しがかなり好きなんだ。これは私の個人的な趣味。でも何故押井は原作作品でも原作を超えるのか?と言うと明確な映像哲学と、この自分なりに原作に色をつける個性がある点だと思う。正直イノセンスはやりすぎたと思う。好きなのは好き。でも攻殻機動隊に比べると爽快感が落ちすぎ。SACの方がどちらかと言えば好きなほう。
まずはキャラの使い方、うるせいでも魅せた眼鏡の使い方の上手さ、隊長と竹中直人の使い方の上手さは絶品だと思う。こんな地味なキャラ使って面白いのか?と言うときちんと面白さになってる。イノセンスはちょっと個人的な趣味に走りすぎてるけど、隊長のいぶし銀の働きは多くのドラマで共通するキャラクターの良さがあると思う。昼行灯、必殺シリーズの中村主水を髣髴させる。大人向けのカッコいいと感じるキャラ。理屈を捏ね回す竹中直人のキャラはもろ眼鏡。さすがに押井の得意なキャラだけあって実に見事。これはエンターテイメントとしては他には類似するキャラをすぐには思いつかない。ぱっと浮かぶのが眼鏡。押井の個性だと思う。
後はやはり彼の日常と非日常の境目と言うテーマ性。これに今回用いられたのは橋の破壊。
単純にこれを破壊賛美とは見ない。映画とかってこういうものを吐き出す力があるんじゃないかと思う。殺人事件の話を見てるから攻撃的になるか?と言うとそうでもないと思う。どっちかと言えば、日常にたまりかちな衝動的な気持を上手く散らしてると思う。
だから思う存分こういうのはすっきりさせたほうが良い。橋を壊したいと欲求があるから壊すんだ。青天の霹靂であるから面白い。そこが戦争映画などと違う部分。
原作を知っていると、こういう独自に原作を生かして作り上げるセンスは最高だと思う。こういう監督あんまり居ないんだよな。どうしても独自に作っても原作を超えるものにならない。超えたとは言わないけど、並ぶぐらいの良さはある。アニメの良さってこういう所にあるんじゃないかと思う。