こたろう さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
スタイリッシュ鬱アニメ
生存戦略ぅーーーーーー!
という合図とともに、サケイデリックな世界が広がります。
なんだこりゃ?とは思いますが、洒落たナナメ上からの演出に圧倒されて、多少の意味不明さは吹き飛ばしてしまう。そんな不思議パワーを持った作品です。
ピングドラムって何よ?
生存戦略って何ぞ?
まぁ、いいか。そんなもんw
さて、一見はファンタジックでメルヘンな雰囲気を醸してる本作ですが、冷静にお話だけをみればかなり陰鬱でサイコな内容。
それを、ワケのわからんシュールで可愛いペンギンというマスコットや、明るくコミカルなキャラのリアクション、不思議で独特な開き直った演出の数々で装飾してます。
さもすれば果てしなく暗くドロドロになってしまいそうなストーリーを、奇抜さというオブラートでくるんでいるのが本作の最大の特徴。
奇抜なだけでなくお話自体も見応えがあります。
前半の謎の匂わせ方や話の展開させ方とか、ミステリー的なドラマとして興味を惹きつける構成はとても魅力的。
ちょっと強引ではありますが、過去の事件と現在おこっていること、それにまつわる登場人物の立ち位置の変容。それを少しずつ紐解いて進めていく見せ方はセンス抜群です。先が読めずにいい意味で裏切られるので、とにかくダレないし飽きません。
ただ、個人的には気にくわない。
序盤が面白かっただけに、終盤の早足な展開や、終始奇抜さを通すことで解説すべき謎を曖昧にしてしまっているのが、なんともイライラさせられます。
物語の救いがないところを”不思議な何か”の成すことなんだから納得しろ。というのが好きじゃない。
ファンタジーというチカラ技で結論づけする作品がイイとは言いませんが、ファンタジーで全部を「視聴者の想像にお任せします」ってやるのはダメでしょ。
一般の常識では推し量れないからこそファンタジー。説明臭くなろうが何だろうが、物語を提供する側が解説しなきゃ誰に解って貰おうというのでしょうか?
芸術作品じゃなくエンターテイメントなんですから、アニメって。
色々オマージュしているみたいですが、ネットなどで調べないと理解できない秘めたる設定なんぞ一般の視聴者には知ったこっちゃないです。
というわけで、ストーリー展開や魅せ方が上手いと評しましたが、畳み方がイマイチな作品でした。
出来が悪いというのではなく、なんていうか・・・・・ズルい。
こういう”味”なんだろうけど、どーも納得いかないんですよね、誤魔化されてるみたいで。
で、結局、ピングドラムって何なんでしょう?