ようす さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「あなたと過ごした日々を この胸に焼き付けよう」
2006年に公開された細田守監督によるアニメ映画。
原作は筒井康隆先生の「時をかける少女」ですが、
この作品は、原作の舞台の20年後。
主人公の真琴は、
原作の主人公・芳山和子(よしやま かずこ)の姪です。
過去に見てレビューも書いていましたが、
久しぶりに見直したのでレビューも書き直します。
細田監督の作品はほぼ全作品見ていますが、
この「時をかける少女」が一番好きだなあ。
100分ほどの作品です。
● ストーリー
高校2年生の紺野真琴(こんの まこと)は、クラスメイトの男子二人、津田功介(つだ こうすけ)と間宮千昭(まみや ちあき)が遊び仲間だった。
理科室で不審な人物を見かけた真琴は、
準備室で不思議な感覚に包まれる体験をする。
その帰り道、ブレーキのきかなくなった自転車で踏切に突っ込み、
電車と衝突。
死んだと思ったが、
気が付くと少し前の時間に戻っていた。
パニックになりながら叔母のところを訪れると、
「それはタイムリープだ。」と告げられる。
タイムリープの力を手に入れた、
高校生の女の子のひと夏の物語です。
真琴の力の使い方には段階があって、
まずは自分の楽しさや心地よさのために使う。
カラオケ無制限ループしたり、
抜き打ちテストをやり直したり。笑
次はやり直したい訂正事項に使い始める。
うまくいかなかったことや、
なかったことにしたいことに使う。
その後、他人や友達のために(おせっかいで)使う。
自分のささやかな幸せのために使っている初めの頃はよかったけれど、
結果を何度も訂正しているうちに徐々に雲行きが怪しくなります。
自分の都合だけ考えて、
タイムリープしてやり直して、
それによって伝えられたはずの勇気がなかったことになったり、
別の誰かが不幸になったり、
自分だけが得する世界で、
自分だけが思い通りになる世界で、
それで本当にいいのか?
その辺りはちゃんと諭されていて、
教育的によろしいです。笑
人生は一度きりで、
やり直しがきかないぐらいがちょうどいいのかもしれない。
やり直して、自分の望む結果になったとして、
それが本当に幸せなのかは、また別の話。
それにしても真琴の力の使い方は非常にもったいない…!
私ならもっと上手に使う!
…とりあえず、布団とかいっぱい洗濯したのに、
ゲリラ豪雨でびしょぬれになってショックなので、
洗濯をしないというところからやり直すかな。笑
(映画を見た日の話)
《 人の命に関わって 》
「人生はやり直しがきかないぐらいでちょうどいい」
とは言ったのものの、例外もあって。
それはやはり人の命が関わったとき。
もし、あのときブレーキがきかなくなることがわかっていたら、
自転車になんて乗らなかったのに。
誰かが死ぬ現実なんて、それが事故なら尚更、
絶対やり直ししたくなる。
真琴のタイムリープは大きなリスクもないようですし。
だけど実際にそんなことがあちこちで起きていたら、
世界は崩壊しそう…。
実際はどうなのだろう?
そのあたりの詳しいところは、
原作読めばすっきりするのかな。
ちなみに原作は1967年発行。
(私は未読です。)
現代アニメとしての改変は大いにあるだろうけど、
今見ても楽しめて、考えさせられる内容なのだから、すごいよなあ。
● 音楽
【 挿入歌「変わらないもの」/ 奥華子 】
【 主題歌「ガーネット」/ 奥華子 】
この2曲はレジェンド級に好きなんですよね…!
歌詞も曲調も、
この作品にぴったりだし切ないし。
レビューのタイトルは、
「ガーネット」の歌詞から引用しました^^
● まとめ
真琴にとって、3人でいる時間が当たり前で、楽しくて、
ずっと続くと思っていた。
だからそれが壊れるのが怖かったのだろう。
その気持ち、わかるなあ。
特に昔は、
今の楽しい時がずっと続けばいいと思っていた。
でもやっぱり終わりは来てしまって、
終わりが来ると意外とあっさりしていて。
そんなふうに感じること、
大人になった今ではなくなったな…。
青春の特権の一つ、なのかもしれませんね。
ひと夏の、少女の成長物語。
味わうのなら、夏がおすすめです^^