たんたんたぬき さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
カイジの人間性
過去にちょっと思い当たらないけど、現実の体一つでゲームに挑む。特に興味深いのは知恵を使った戦略性の高いゲーム対決。この特異な内容にすぐ魅せられた。どうするどうなる?これを終始興味深く見てしまう。退屈と言う気持ちが全く生じない。今が楽しい、先が楽しみ。まずゲームのアイデアが素晴らしい。次にこれらに生じる駆け引きと生身の人間が思考していると感じる個々のキャラの人間臭い思考の数々。
この作品はこれが軸だと思うし、後他にはやはりこれらのゲームの仕掛け人兵藤のキャラだと思う。これで十分に満足できる。
でも感動に近く心が動いたのは鉄骨渡りであった。あまりにシンプル、それまでの知的ゲームと全く違う。死に対する人間心理が見てて気持悪くなってくる。カイジと言う作品は人間のエゴを扱うと同時に、全く正反対の面を出す。これが福本がカイジと言うキャラクターを主人公にした理由だと思う。鉄骨一本の上で共に築いた信頼関係は命がけゆえに偽りの無い本物を感じさせる。カイジと言うキャラは気持ちの良いキャラクター。このキャラクターは知性よりこっちが光っている。日常に置いて長く付き合うには自堕落でだらしないキャラなのだが、ここぞと言う危機にはこれほど頼もしく信頼できるキャラは居ない。不思議なキャラクター。
知と情と言う相容れにくいものとして描かれるものの2つを見事1つのキャラクターで実現している。この作品地味ながらカイジの人間性が人間の欲得への醜さを描きながら独特の爽快感を生んでいる。
後声優としては地味な部類だと思うけど、萩原聖人の声がすごく良い。おそらく近年役者声優ではトップレベルの人だと思う。
絵はあまり褒められたものじゃないが、恐怖や悲哀で崩れる顔は味があると思う。