hiroshi5 さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
なぜこの「坂を降りる」だけのアニメが面白いのか!?
躍動感。この作品はプロ顔負けの作画から引き出される躍動感を感じる為のアニメと言っても良いだろう。
自主制作アニメの素晴らしいところは制作者の意図がはっきり現れると共に遊び心が作品内の随所に見られることだ。
告白して振られたフミコが坂を駆け下る間に野球ボールが鼻にぶつかり涙を流すシーンなどは制作者の遊び心が表れていて非常の面白い。
作品の展開は告白して、振られて、坂を降って、告白して、また振られるという単純な物語になっている点からして告白することが焦点ではないことがわかる。
この作品を見てなぜ面白いと感じるのか。それは単に「フミコの(が)告白」するだけなのに、意味の分からない程坂を下るシーンが強調されているからだ。
しかも、坂を下るシーンの手の込みようがこの作品の「面白さ」をより強調している。振られたとか告白したとか正直あまり関係なく、坂を下っているその過剰な表現に面白みがある。
しかし、最終的にフミコがもう一度告白することで視聴者は「あ~、この作品はそういえばフミコの告白だったな」と思い返す。
坂を下るシーンだけを入れてもこの作品はそこまで面白くならないだろう。タイトルや趣旨(告白)と坂を下るシーンのギャップがこの作品を面白くしている。
しかし、このパターンは短編アニメだけで有効な手法であることを忘れてはならない。趣旨がどうでも良い内容で本編が薄っぺらいだけでは砂糖が大量でデコレーションは派手だが中身がスカスカのスポンジケーキのようなものだ。一口目はそれはそれで面白いが、それを毎週のように食べさせられると飽きてしまい、最後には嫌いになってしまう。
それと同じように、本筋が適当で無駄な見せ場だけを強調するやり方は自主制作アニメの特権と言っていいだろう。